ふふ、ママたち奮発してこんなもの買っちゃった。

え?
なになに!!?

どうだ!!
AIロボットフィクサーだ!!

ハジメマシテ。
今日からよろしくお願いシマス。

すごーい!!

これでママ友たちのお話にもついていけるわ~。
まさか一家に一台AIがいる時代が来るなんてねぇ。

あぁ、俺たちの若いころはAIなんて金持ちしか買えなかったのにな。

へぇ、そうなんだ!!

さっそくフィクサー、お掃除お願いできるかしら?

承知いたしマシタ、奥様。

そういうとフィクサーは傍にあった掃除機をスムーズな動きでかけ始める。

すごいわ、フィクサー!!

フィクサーついでに俺の車も掃除しておいてくれ。

承知いたしマシタ、旦那様。

フィクサー、私のお洋服もきれいにハンガーにかけておいてくれる?

承知いたしマシタ、お嬢様。

そのすべてをテキパキとこなすフィクサー。

本当に命令に忠実に働くんだな・・・。

まぁ本当にすごいわね。

『フィクサー、
洗濯物をお願い。』

承知いたしマシタ、奥様。

『フィクサー、ビールが切れたから買ってきてくれ。』

承知いたしマシタ、旦那様。

『フィクサー、リコーダーが
見つからないの。
探してくれない?』

承知いたしマシタ、お嬢様。

『フィクサー、お料理をお願いできる?』

承知いたしマシタ、奥様。

『フィクサー、
マッサージしてくれ。』

承知いたしマシタ、旦那様。

『フィクサー、ママが隠したおやつ探してきて。
食べるから。』

承知いたしマシタ、お嬢様。

『フィクサー、赤ちゃんの面倒見てて。』

承知いたしマシタ、奥様。

『フィクサー、俺の代わりに仕事に行っといて。』

承知いたしマシタ、旦那様。

『フィクサー、私の代わりに宿題してて~。』

承知いたしマシタ、お嬢様。

フィクサー

フィクサー

フィクサー

あぁ!!
クソっ、急いでくれフィクサー。

承知いたしマシタ、旦那様。

パパー、せっかくのお出かけだったのにつまんなーい。

もう!!
あなたが仕事をさぼってフィクサーに押し付けるから・・・もしかして解雇の呼び出しじゃないの!!??

うるさい!!
お前だってフィクサーに家事をほとんど任せてるじゃないか!!

キイイィィィイイイ!!

きゃっ!!

なんだよフィクサー、急ブレーキを踏むな危ないじゃないか!!

道路に猫がイマシタ。
轢かないようにト。

猫ぉ!??

にゃー

馬鹿が、早急に会社に向かわなきゃならないんだ!!
こんなのに構うな!!

しかし、命を最優先にプログラムされてイマス。

これだからロボットは融通がきかないんだ!!
今は俺の命令に従って最速で会社に着くことを最優先しろ!

承知いたしマシタ、旦那様。

わっ!!!

車は急発進し、そのままコントロールができる最高速度で走りだす。

いいぞ・・・!
急げ急げ!!

承知いたしマシタ、旦那様。

会社が見えた!!

遠目では豆粒のように見えていた会社が徐々に近づいてくる。

おい、フィクサー駐車場はあっちだぞ!?
フィクサー!!??

パパ!!!!
このままじゃ!!

止まって!!
止まって!!

慌てて母が止めに入るが、AIからは反応がない。


そしてそのまま―

駐車場に車を止めるより、そのまま車でオフィスに突っ込んだ方が最速で着くと判断シマシタ。
到着いたしマシタ、旦那様、奥様、お嬢様。

・・・。

・・・。

・・・。

旦那様、奥様、お嬢様?
次のご命令を、お願いシマス。

次のニュースです。

本日未明、

〇〇会社が製造する
AIロボットフィクサーが運転していた車が建物に突っ込み

乗車していた4名が死亡、
フィクサーが軽傷を負いました。

死亡した中には1歳にも満たない
乳幼児もいたようです。



運転していたフィクサーの証言によると、

『【旦那様】の命令を最優先しろと依頼された。
【命を守るよりも】
最速で会社に着くようにと命令された。』

とのことです。




〇〇会社は

『このような痛ましい事故が
二度と起きないように対策をします。

現在販売されているフィクサーを全て回収し、
プログラムを再検討しますので
既に家庭に持たれいる方は
ご協力ください。』

との文書を発表しました。











次のニュースですー

末路2、完

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