これからも我が会社の益々の発展を祈って。

カンパーイ、と桜の下に集まった者達が宴会の始まりを告げる。

いや、それにしてもさすがだね社長。
お前が会社を経営するって言いだした時はどうなる事かと思ったよ。

いや、皆が手伝ってくれたお陰だよ。
僕一人の力じゃここまでのし上がれなかった。

いや、マジで経営に関する知識のない俺たち二人が手伝いで足手まといにならなかったのかよ。

全然!!
2人がいなかったらすぐに倒産してたって。
やっぱり、持つべきものは友幼馴染だね。

でもまぁ最初は本当苦労したよなぁ。
従業員なんて社長のお前と俺たち2人だけだぜ?

そうそう。
でも気心の知れた幼馴染のお前たちだったから気楽にできて俺は良かったけどね。

2人には本当に苦労を掛けたよ。
僕についてきてくれてありがとう。

なんだ、水臭いな。
・・・でもまぁそうだな、忙しかったからそん時彼女なんて作ってる暇なかったけどさ。

でもそろそろ奥さん見つけないと、三十路だよ俺達。

ふ・・・・実は俺はもう彼女いるんだわ。

え???
初耳なんだけど、誰なの??

俺たちの会社の事務で働いてる〇〇さん。

えー・・・俺狙ってたのに。

やんねぇぞ。

ぷ・・・冗談だよ、必死だな。
かーわいい。

う、うるせぇ!

あはははは。

あはははは

幸せな夢はもう終わり。



もう一つの仮想世界へ行くその道具を地面に置いて、


男は苦し気につぶやいた。

僕のせいで・・・ごめん、二人とも。

地面に散らばるのは借金の返済を求める督促状と二つの椅子。



天井の梁には重みでぶらぶらと揺れる二つのロープ。





僕も、今逝くよ。

小さな呻き声、静寂。


誰も居なくなった部屋にはテレビの音だけが陽気に響いているのだった。


末路1、完。

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