街灯が点き始めた頃、中央通りでコフィンとアリスの背中を見送っていた。
たった二日間でしたが
あなた達の成長は
目を見張るものがありました。
次に会う時は
カジノでの楽しみ方を
教えてやろう。
全財産握り締めて来な。
毎日すっからかんに
なる人の話なんて
誰も聞きたくありませんよ。
そうか?
今、ハルは聞きたそうな
顔していたぞ?
気のせいです。
ギャンブルなんて
ロクなもんじゃありません。
皆さん、
もしカジノに行く事があっても
ほどほどにしてください。
ほどほどで終われないのが
ギャンブルなのだよ、
ふっふっふ。
まぁ、それはいいとして、
お元気で。
目的を果たす為、
ここに留まるなら、
また、お会いするでしょう。
それまでしばしのお別れです。
行ってしまわれましたね。
街灯が点き始めた頃、中央通りでコフィンとアリスの背中を見送っていた。
寂しくなるっすねぇ。
しっかし、
一度も腕前を
見せて貰ってないから
本当に強いか分かんねぇよな。
何言ってるんですか、
絶対に強い人達ですよ。
一つ一つの言葉が
経験を積んでいる方だと
教えてくれます。
おそらくそう思って
間違いないわ。
それに明日からは私達だけよ。
気を引き締めていくわよ。
おうよ。って、
何日かは休むんだよな。
俺、死にそうだし。
ダナンは普通に喋ってはいるが、かなりの重傷だ。アデルの応急処置と治療の技術が高さ、それに加えダナンの体力の高さがあり、立っていられるのだ。
宿在中の導師様に
お願いすれば、
回復力を上げられる指輪の
恩恵を得られます。
嘘みたいな話だな。
でもアデルが目指してんのも
その導師様なんだよな。
聖ユデア様の奇跡である
指輪による回復は事実です。
私もこの目で見て
導師様になる夢を
決意しましたから。
丸一日休めば、
大抵の怪我なら治るって
聞きましたよ。
という事で、
明日はお休みで自由行動。
明後日昼前、探索に行くわ。
うひょお~♪
自由って言葉は
何でこんなにワクワク
するんすかねぇ。
おっし、そしたら
カジノでも行くか。
良いっすねぇ~。
全財産握り締めて
行くっすよ。
さっきコフィンが
注意してたとこでしょう、
まったく……。
って事で、二人共
悪銭になりかねないので
報酬の分け前はお預けね。
ぅえぇぇぇえ~。
ハルどころか
オイラまで~。
言いだしっぺも
もちろん同罪よ。
し、しまった。
文なしで休日とか
腹減りそうっすよぉ。
誰か見舞いに来てくれよぉ。
星空に広がるダナンの声。ハル達の騒ぎ声は通りに響き、行き交う人達を振り向かせる。
皆、どこかへ向かって歩いている。
すぐに騒いでいるだけだと気付き、ハル達から目を逸らす。その内の一人が、空を見上げ、随分と長い時間星を眺めていた。
…………
空の星に負けない輝きの金髪に、美しい顔立ちの青年。腰に長剣をしているところを見ると、冒険者だろう。澄んだ眼差しは、聡明でいて何か確固たる意志を感じられた。
~兆章~に続く――