戦闘が始まると
直ぐに矢が姫を狙い空を裂いて飛来する。
レジーナは矢を躱すが
放り投げた武器から遠ざかってしまった。
戦闘が始まると
直ぐに矢が姫を狙い空を裂いて飛来する。
レジーナは矢を躱すが
放り投げた武器から遠ざかってしまった。
騎兵両翼より
弓兵を討て!
残りは中央を
全力で制する!
何があっても姫を
お護りするのだ!
ギュダが馬を走らせながら
兵達に指示を出す。
しかし、レジーナの位置は
敵側の方が遥かに近く
賊共が姫に接近している。
間に合わないと判断した兵士が
投石で応戦する。
レジーナに切りかかろうとしていた賊が
その投石をまともに受け
よろめいて後ろに倒れた。
レジーナに接近する賊に矢が貫通する。
その矢は、
咄嗟に弓を取った兵士が放ったものだった。
自分が一番驚いたような顔をしており、
どうやら実戦で使用するのは
初めてのようだった。
こうなったら暴れるぜ。
ついてこられる奴はつき従え。
びびんじゃねぇぞ。
ガンツは何人かの兵を従えて前進。
無謀とも言える突撃で
賊共を跳ね飛ばしている。
ふむ、お前達、
実に頼もしいぞ。
弓で狙われ続けていたレジーナの元に
盾を構えた兵達が駆け付けていた。
何本も襲い掛かる矢を
盾の壁を作り弾き飛ばしている。
両翼から騎兵が駆け上る先には
賊の弓兵が見えた。
もう何人も矢の犠牲になっており、
負傷兵も多数、戦死者も数名見受けられる。
早くこの弓兵を片付けないと
戦況は悪化する一方だ。
弓兵達が騎兵に対して矢を放つ。
騎兵はそれを斜走で躱しつつ
距離を詰める。
騎兵が何名かの弓兵を跳ね飛ばし
陣形を乱しに乱した頃、
歩兵が砦上部の弓兵達を殲滅していた。
弓兵殲滅!
反転攻勢!
戦線をジワリと
押し上げ一気に
攻め立てよ!
弓兵の殲滅は賊軍の士気を大きく下げ、
戦況はレジーナ軍に傾いていった。
戦線を押し上げる理由の一つは
国宝剣『ジュヅヴァ』を
回収すること。
数では不利だった状況だが
兵達の必死の活躍で、
道を切り開く事が出来た。
…………
ジュヅヴァを回収したレジーナは、
大きく深呼吸し静かに眼を閉じる。
そしてジュヅヴァを天に掲げ、
戦場に響き渡る激を飛ばした。
大人しく降れ!
さもなくば
皆殺しの他、
道はないぞ!
……ぅ……
あまりの激しい声に
ウルが上半身を強張らせる。
無意識の反応に加え、
口から声が洩れていた。
少し下り坂になっているアジトの入り口。
その付近まで後退していた頭目は、
ゆっくりと返答する。
大人しくよぉ……
降るわけねぇだろうが!
なめんなよ、小僧。
頭目が頭上からの攻撃を弾いた。
それはレジーナの兵の奇襲だった。
弓兵が陣取っていた高い場所から
一気に飛び降り襲い掛かったのだ。
降伏する気のない頭目は
湾曲した剣を構え集中している。
一筋縄ではいかない雰囲気は
どの兵にも伝わった。
そして、奇襲を仕掛けた兵士は
敵陣深くで孤立して囲まれてしまった。
無茶するねぇ。
……だが、俺はそういうのに
心躍るんだよな。
俺が道を開く!
ズーノ・Y!
弟分を助けろ!
ガンツにずっと付き従っていた
ズーノ・Yと呼ばれた兵士が、
ガンツの後を追い掛ける。
ガンツが口にしたように
頭目を狙い孤立しているのは、
ズーノ・Yの義兄弟だった。
ガンツのハルバードが
賊共の群れを薙ぎ払う!
次々と襲い掛かってくる賊共。
だが、ガンツに傷を付けれる者は
一人としていなかった。
次から次と……
チッ!
やば……
や……
やるね……
ガンツの危機を救ったのは
ズーノ・Yだった。
そしてそのまま弟分と合流する頃には、
ガンツの周囲に立っている賊は居なかった。
チェックメイトだ頭目さん。
そろそろその軽いおつむでも
実力差が理解できたろ。
やかましい!
俺様が負……
俺様が……?
何だって?
続き聞かせろよ。
ガンツに向けられた頭目の剣は、
力なく地に垂れた。
頭目は威勢を失くし青ざめている。
戦意を失い足元は恐怖に震えていた。
――その理由を唯一知るのは、
近くに居たズーノ・Y。
ガンツが放った殺意が、
威圧的で
圧倒的な冷たさを宿していたからだった。
賊掃討戦での戦死者
ココ
その他2名、計3名
姫を守護し役目を遂げ
永眠