煌炎が双剣から巻き起こした炎は渦を巻き、その場にいた全員を取り囲む。
そして、炎はゆらりゆらりと揺らめいて、一つの情景を映し出した。
・・・これは?
どこか見覚えがあるような・・・?
煌炎が双剣から巻き起こした炎は渦を巻き、その場にいた全員を取り囲む。
そして、炎はゆらりゆらりと揺らめいて、一つの情景を映し出した。
黙って見てな。
う・・・、生まれた!!!!
よく頑張ったな!!!!
可愛い女の子だ。
あ・・・あなた、よく見せて・・・私の、私の可愛い赤ちゃん!
あ、あ!!
ありがとう・・・、生まれてきてくれてありがとう。
もしかして・・・私の父さま・・・?
母さま?
では、あの赤ん坊はわたし・・・?
なぁ、おまえ。
この子の名は以前から決めていたあの名をつけよう。
ええ、もちろんよあなた。
多くの人を惹きつける魅力的な人に・・・そして自分の力で道を築ける立派な人になるように・・・・・・・。
私の可愛い、■■・・・・。
嫌です・・・!!
私の子を連れて行かせなどしません!!!
そうですどうか■■だけは・・・!
情景が変わった・・・?
ここは・・・・、幕府の本庭・・。
その子はヤマミサキの先祖返りを受けておる。
お前たちの手に負える子ではないよ。
たとえ・・・、妖怪の先祖返りであろうとなかろうとこの子はたった一人の可愛い娘。
いくら幕府のお方でもお預けすることはできません・・・!!!
そうです!!!
ですのでお引きください!!
この私の話に応じぬというのだね・・・?
・・・申し訳ございません、ですがこの気持ちは揺るがすことはできません。
・・・・分かった。
仕方がない。
・・・!
それでは・・・!
ひっ・・・!!!!
力ずくで奪うまでだよ。
ぐ・・・・が。
・・・■■・・・・。
そ・・・んな。
その情景を映したあと、炎はヤマミサキたちの周りから消えていく。
おたくの両親は幕府の奴に殺された。
これが真実だ。
そんな・・・あんなにも子供のことを思っていたのに、ひどすぎる。
・・・青藍様。
・・・。
つらいところも見せちまった、・・・わりぃ。
・・・いいえ、確かに両親の死をこの目に写すのは苦しいものですが・・・両親に捨てられたわけではないと、愛されていたのだとあなたは私に見せたかったのですよね。
・・・・。
それだけでも十分嬉しいですわ。
そう言ってヤマミサキは儚げに笑った。
・・・あー!!!
つまりだ!!!
?
『自分自身の力で道を切り開く魅力的な人に育ってほしい。』
あんたにはそういう願いを込めてくれた両親と、立派な名があるんだ。
・・・・。
・・・・。
だから自信をもって生きろ。
…彩世【サヨ】。
・・・・!
その瞬間
ヤマミサキの持っていたキセルに亀裂が入る。
キセルにひびが・・・。
・・・・なら用は済んだ。
ポニー、ちびガキ、行くぞ。
あ・・・!!!
本当に、本当にありがとう!!
あの、あなた様の名は・・・。
・・・・・さぁな。
お兄さん待って待って~!!!
だから置いてかないでくださいよ!!
煌炎様!!!!!
・・・・煌炎、様。
お兄さんってば、本当罪づくりな男よね~。
あ?
あれは絶対お兄さんに『ほ』の字だよ!
・・・やっぱ崖から捨ててくれば良かったか。
えっ、嘘嘘!!
ごめんなさい!!
・・・・。
こうして煌炎一行は無事二つ目の魔具を破壊し、次の行き先を目指して山口県を後にするのだった。