ヤマミサキ

いやよ・・・・。
お願いだから、それだけは・・・・。

煌炎

・・・・なにか、訳がありそうだな。

煌炎は手に持っていた双剣をゆっくりと鞘に納めた。

するとあたりを埋め尽くしていた炎も、幻から覚めたかのように跡形もなく終息していった。

ヤマミサキ

ごめんさい・・・・、でも私の存在意義はこの役目を全うすることでしか示せない。

・・・というと?

ヤマミサキ

私は…、幼いころ両親に捨てられた。
ヤマミサキの濃い先祖返りをした私は、昔から海でおぼれ死んだ人や崖から落ちて死んだ人と会話し、つながることができたの。
きっとそれが気持ち悪かったんだわ。

花蓮

・・・それは。

ヤマミサキ

捨てられた後は今の征夷大将軍様に引き取られて、この地位につけられた。
でも、そこから私は『ヤマミサキ』としか呼ばれないようになって、あまつさえ全ての人から恐れられるようになったの。
もう、本当の名なんて忘れてしまったわ。

煌炎

・・・・。

ヤマミサキ

だから今の私にはこの統治という役目しか、存在理由を見つけられないの。
両親に捨てられ、名前もない、私の存在理由をね。

煌炎

・・・・・あほくさ。

ヤマミサキ

・・・え?

煌炎

あほくさいって言ってんだよ。

煌炎様!!

花蓮

お兄さん、それはひどいよ!!

煌炎

だってそうだろ。
そもそも、おたくは自分が自分自身を認めてないじゃぁねぇか。
自分が認めてない自分を、他人が認めるわけねぇだろ。

ヤマミサキ

・・・それは。

煌炎

・・・それに、憶測で親が自分を気持ち悪がってるなんて言うんじゃねぇよ。
親ってのはぜってー子供を見捨てないもんだぜ。

ヤマミサキ

・・・そんな綺麗ごと・・・!!!!!
事実私は捨てられてるわ・・!!!!

煌炎

本当にそうかねぇ。

ヤマミサキ

・・・どういうことですの?

煌炎

・・・今回は特別に見せてやるよ。

そう言って煌炎は双剣を抜き、次の光景にヤマミサキは目を見張ったのだった。

七雄ヤマミサキの章【転】

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