毎日がバラ色に変わった。
自分の存在意義を初めて形のある物で理解できた。
右手を見ると、そこには確かに繋がる二つの手。
その手はまるで、綿を掴んでいる様な感覚で軽く、柔らかく、けれども相手からの熱は確実に伝わって来ていた。
うれしかった。
いや……そんな生ぬるい物ではない。
彼女に依存していたのだ。
メールアプリの返信が帰って来るまでの時間、授業を受けている時間、帰りに彼女と別れてからの時間。
これら全ての時間、僕はハラハラしていた。
自分に自信がないのだ。
もしも、他の人に彼女を取られていたら……。
そんな物が、僕の思考を埋め尽くす。