僕はただ自分を愛してくれる人が欲しかった。






こんな僕でも求めてくれる、そんな人が。






中学に入学すると同時期に、好きな人が出来た。






初恋だ。






その人は、頭が良くて人望もあって人当たりもいい。







それに何より、可愛かった。






地味で出来た僕とは真反対、表裏や光影と言ったところか。






だからこそ、僕は彼女に恋をしたのかも知れない。






表裏一体。そして、光には影が不可欠である。






そしていつからか、そんな妄言が希望へと変わっていた。






そう。






僕は彼女に告白する決意をしたのだ。






頭の片隅では理解していた。






絶対に無理だと。






けれど、お花畑の頭の中でその小言は届かなかった。






夏休みに入る前の放課後。僕は彼女を校舎裏へと呼び出した。






“好きです”






この一言を口にした時、僕の心にあったどこか詰まっていた感情が解放された。






これで僕は満足だ。






その後なんて、フラれても構わない。






“ありがとう、付き合お”






この返答が返って来た時、僕は新たな扉を開けてしまった気がした。






僕、和田守男の話(過去)はここから始まる。

第21話 武勇denデンデデン伝

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