僕はただ自分を愛してくれる人が欲しかった。
こんな僕でも求めてくれる、そんな人が。
中学に入学すると同時期に、好きな人が出来た。
初恋だ。
その人は、頭が良くて人望もあって人当たりもいい。
それに何より、可愛かった。
地味で出来た僕とは真反対、表裏や光影と言ったところか。
だからこそ、僕は彼女に恋をしたのかも知れない。
表裏一体。そして、光には影が不可欠である。
そしていつからか、そんな妄言が希望へと変わっていた。
そう。
僕は彼女に告白する決意をしたのだ。
頭の片隅では理解していた。
絶対に無理だと。
けれど、お花畑の頭の中でその小言は届かなかった。
夏休みに入る前の放課後。僕は彼女を校舎裏へと呼び出した。
“好きです”
この一言を口にした時、僕の心にあったどこか詰まっていた感情が解放された。
これで僕は満足だ。
その後なんて、フラれても構わない。
“ありがとう、付き合お”
この返答が返って来た時、僕は新たな扉を開けてしまった気がした。
僕、和田守男の話(過去)はここから始まる。