自分の状況が理解できなかった。
目を覚ますとそこは、最後に見た外の景色からガラリと変わっていたのだ。
身体に感じる、軽いが確かに温かみのある重み。
どこか落ち着く昔ながらの香り。
そして、昔から見慣れた白いカーテンとその室内の壁。
自分の状況が理解できなかった。
目を覚ますとそこは、最後に見た外の景色からガラリと変わっていたのだ。
身体に感じる、軽いが確かに温かみのある重み。
どこか落ち着く昔ながらの香り。
そして、昔から見慣れた白いカーテンとその室内の壁。
ここは……保健室……
そうだ。ここは学校の保健室だ。
けど、なぜ僕はここにいるのだ。
目覚めたての頭をフルに使い、記憶を振り返ってみた。
僕は今日もめげずに、桜さんと下校をするために声をかけて……それから……僕は……。
あぁ、僕はやってしまったのだ。
自分の意志が暴走して、人を傷つけてしまう「僕」が……。
あの時の僕は、どうなったっけ……。
完全に隔離された記憶の片隅を、覗きこむなんて、初めてな気がした。
それほど、思い出したくなかった事だったからだ。
あぁ、そうだ。
思い出した。
おうおう、やっと目を覚ましやがったな
えっと……あなたは?
横を向くと、そこには桜先輩の他に可愛い先輩が一人に邪魔な先輩が一人。
それと、先ほどまでいなかった眼鏡をかけた先輩が立っていた。
はぁ!? 俺を覚えてないのか……ってそうか。お前、俺が蹴り抜いたと同時に意識失ったんだもんな
あぁ、先輩だったんですね……
あの、狂った「僕」を止めてくらたのは先輩だったのか……。
ベッドから立ち上がり、身体を先輩に向けた僕は、流れる様にこう言った。
あの、助けてくれてありがとうございますは
はぁ? お前、むしろ襲いかかって来てただろうが!!
まあ、そうなんですが。先輩が居なければ、僕はきっと昔の様なあやまちを……
……? 昔ってなんだ?
やはり、そのワードに食いついて来た。
想定内だ。
状況を把握した瞬間から、話す覚悟は決めていた。
あの、桜さん
は、はい?
突然名前を呼ばれた事に驚いたのか、返事を返す前に身体を一瞬震わせた。
そこも可愛い桜先輩が好きだ。
聞いてほしい事があるんです
昔の僕の事を…………
室内に生まれた沈黙を感じながら、僕はそっと語りを開始した。