エルヴィン

アールグレイはそっちだろ

…………

エマ

……身体はそうね

エマ

私たちは貴方の中身に用がある

 エマが微笑みながら、エルヴィンを指さす。
 光の輪が現れ、エルヴィンの身体を締め付ける。

エルウィン?

うごぇ

お主の罪を数えようか

エマ

人形の火葬は、子供たちに愛を与えた人形に施す儀式

そこにいるウサギとクマは、まだ出会うべきルーシーと出会う前に、ルーシーに愛を与える前に、ルーシーから愛される前に火葬されてしまった

エルウィン?

人形を燃やしただけで、バカバカしい

バカバカしいだと?
生まれたばかりの命を炎に投げ入れるとは、恐ろしい行為だ

エマ

人間世界では、殺人罪ってところね

お前の罪はそれだけではない

エマ

エルヴィンをここに連れ込み、その身体を乗っ取った

そして、エルヴィンはここに閉じ込められた

ルーシー

え?

エルウィン?

俺はエルヴィンを恨んでいる。
恨みを晴らす為、人間の身体を乗っ取ることは許されているはず

ああ

恨みを抱いている人形ももちろんいる

3分間だけだ。身体を乗っ取り、相手に恨みを伝える

許されているのは3分間だけ。それだけあれば十分だ

それ以上は許されていない。それなのに、お主は7日間も彼の身体を乗っ取っている

エマ

貴方には人間の魂をここに監禁した容疑がかかっている

エルウィン?

それの何がいけない? それだけ恨みが深かっただけだ

ルーシー

………

エルウィン?

エルヴィンの所為で、俺は馬車にひかれた。エルヴィンが手を離さなければ

エルウィン?

俺を火葬するから、ついでに他の人形も火葬されて、ルーシーを悲しませた。全て、全て、全て、エルヴィンが手を離したせいだ

ルーシー

…………

エルウィン?

エルヴィンが馬車にひかれれば良かったんだ

ルーシー

………っ

エルウィン?

それが正しいと思ったから、俺はエルヴィンの身体を得た。俺はもうエルヴィンなんだよ

ルーシー

それは違うわ

エルウィン?

ルーシー?

ルーシー

手を離したのは、私とエルヴィンよ

ルーシー

あなたの右手を私が掴んで、左手はエルヴィンが掴んでいたのよ

エルウィン?

ああ、そうやって街を歩いているとき。馬車が俺たちのところに突っ込んで来た。そして、

ルーシー

そして、私のママが私の右手を、エルヴィンのママがエルヴィンの左手を引っ張ったの。同時に引っ張ったから、私たちは同時にあなたの手を離してしまった

エルウィン?

嘘だ、悪いのはエルヴィンだ

ルーシー

エルヴィンが悪いのなら、私も同じくらい悪いわ

エルウィン?

じゃあ、悪いと思うのなら。俺をエルヴィンと思って愛して、愛して愛シテ

ポンタ

それは無理だな

アールグレイ?

お前は自ら罪を告白している

エルウィン?

……何もしていない……クマとウサギを火葬することも、エルヴィンの身体を乗っ取ることも正しいことだ

エマ

正しいかどうかを決めるのは貴方じゃない

エマ

あなたがクマとウサギと再会しなければ、貴方が彼らに対し行ったことはわからなかった

エマ

これは私たちにとっての賭けだった。
あなたとクマ、ウサギが再会したことで私たちは賭けに勝ったの

エルウィン?

はぁ?

エマ

私たちはこの中のことしか分からないもの。外で起きた出来事、彼らを火葬した犯人の顔は、あの子たちしか知らなかった。

エルウィン?

!!

被害者がこう言っている

こいつがやった

間違いない!!

エルウィン?

うぅぅ

エマ

犯人確定

さて、まずは身体を返してあげなさい

エルウィン?

いやだ、いやだ、いや……

視界が光に包まれたかと思うと、先ほどまで光の輪に捕まっていたエルヴィンがアールグレイに変わっていた。



代わりにアールグレイが居た場所にはエルヴィンが仰向けに倒れている。

アールグレイ

…………

エルヴィン

う………

ルーシー

エルヴィン!

エルヴィン

うぅ

ルーシー

大丈夫?

エルヴィン

ああ、頭がクラクラする

七日間も魂と肉体が離れていたのだ。衰弱は激しいだろう

ルーシー

アールグレイはどうなるの?

ここに彼の居場所はない

アールグレイ

やめ、やめてくれ……

エマ

まずは身体を全て分解しましょう

次に身体の綿を抜こう

アールグレイ

やだやだやだやだやだやだやだ

お前が向かうのは、人形の処刑場だ

アールグレイ

うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

ルーシー

さようなら……アールグレイ……

ルーシー

貴方も大事な私の友達だったわ

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