……。
……。
おーい、いつまで見つめてるんだ?
いいかげん仕事しろよ。
無駄よ、イエローはあれから
ずっとこの調子だもの。
おや、ホワイトは
元に戻ったんだな。
あの姿は趣味と実益を兼ねた、ただの 擬態だもの。……あなたも人間に恋煩い?
なんだそりゃ。
そんな趣味はねーよっと。
しかし、四天王が四人総出で
勝てない相手とはねえ……
見入るのはそれが理由か。
……。
ここは、どこ。
私は、誰?
ここが……?
ハイ。位置座標カラ、姫サマノ
言ッテイタ発電施設ノアッタ
場所ニ間違イアリマセン。
じゃあ、やっぱり……みんなは
……みんなは……!
ぎゃひょー!!
ひでぷっ!!
よ、よくなくってよっ!?
なんじゃそらー!!
……う、うう……ごめんね、みんな……
……ドウシテ姫サマガ謝ルノデスカ?
コノ穴ヲ作ッタノガ姫サマナノデスカ?
……ううん、でも、あたしが不夜城さんを助けたばかりに、こんなことに……。
ソノ方ガ生キテイタカラ、
コノヨウナ事故ガ起キタノダト?
ぐすっ。う、うん。……たぶん?
姫サマ。私ハソノ方ヲ知リマセンガ、 コレホドノ大穴ヲ開ケルニハ、ココノ 発電施設デハ電力ガ不十分デスヨ。
……え? そうなの?
ハイ。姫サマニナラ可能ダカラ
ソウ思ウノカモシレマセンガ、
コノ規模トナルト融合炉ガ必須デス。 トナルト国家レベル又ハソレニ準ジタ 予算ヤ支援ガ必要不可欠ニナリマス。
それって、つまり……?
ツマリコレヲ行ッタノハ、個人デハナク組織デ権限ヲ持ッタ人物トイウコトニ ナリマス。姫サマノ言ウソノ方ハ
ソウイウ人物ナノデスカ?
うーん、どちらかというと頭が良くて 偉い人だけど、そういわれると違うかも?
ま、多椙君のいうことも一理ありますね僕は学長に許可を取りこの実験に臨んでいます。どうか続きをさせて頂きたい。
……実験のためなら命をもかける。
それが殿方の矜持というわけですか?
この大学内をあなたの血に染めても?
左様です。(キリッ
ナルホド。熱血漢ダガ物事ノ筋道ハ
通ス人。ソウイウ人物ノヨウデスネ、 ソノ不夜城トイウ方ハ。
うん、多分そういう人。
ソウイウ人ハ自分ノ研究ニ命ヲ懸ケテモ他人ニ迷惑ヲカケタリハシタガラナイ ハズデス。ユイガ博士ガソウデスカラ。
うん、そうだね、そんな感じするもん。
ダカラ姫サマモ、誰モ恨ンダリ迷惑ヲカケタクナイカラ自分ノセイニシテイルノデショウガ、ソレハ考エ過ギデスカラ、モット自分ヲ大切ニシテクダサイ。
あっ……はい、すみません。
チャーリーの気遣いに、ボクは思わず赤面してしまった。
思えばこの身体になって落ち込んでいた時も、チャーリーはこうして助け船を出してくれていた。
あの時チャーリーに「母子のようだ」と言われていなかったら、ボクは自分の心を抑えることができなかったかもしれないのだ。
チャーリー、ありがと。
イエ、ドウイタシマシテ。
もしかしてチャーリーは、ボクが思っている以上に人間なのかもしれなかった。
そういえば、ボクは以前、不夜城助教授の実験が失敗する根拠に電力の不足を挙げていたと今頃になって気がついていた。
きっと三人の不在がボクの心に思った以上にずっしりと重い影を落としているに違いなかった。
くぅ~! 泣かせるじゃねえか、
あのワン公! 忠犬ってえのは、
ああでなくっちゃあなあ!
こうしちゃいられねえ、オイラも
汽車から下りて引っ返してきた甲斐が
あるってもんよ! 待っていて下せえ、
旦那様、お嬢様ー!!
……。