少し早い食事も終わらせ、茶をゆるりと味わってからユフィが呟いた。
意外に足らないわね。
少し早い食事も終わらせ、茶をゆるりと味わってからユフィが呟いた。
えぇっ!?
ジュピターのクリクリが
まだ足らないって言うんすか?
これ以上増えたら
どうすんだよ。
増えねぇし、
それ以前に
そんな話じゃねーだろ。
はぁ~馬鹿っていいわね。
弱冠、羨ましいわ。
もしかして
資金面の話ですか?
そうよ。
私とダナンの武器、
治療薬の補充に
食事代やその他雑費。
あれこれ計算すると
各個人には大した金額が
行き渡らないかもって。
あれだけあったのに
意外ですね。
しかも今回は、
特別にコフィンが
ご馳走してくれて
これだから思ったより
大変そうね。
それでも討伐4体で
あの報酬は多額ですよね。
ええ不思議なほど多いわ。
しかもアデルが刻弾を
使用したにも関わらずね。
魔気が随分減ってあの報酬よ。
貰う側としては有難いけど。
それはあのウェルキアの報酬が
ズバ抜けて高いからです。
それほどあの魔物は
手強い敵なのです。
ジュピターさんは、
そんな魔物を
一人で倒しちゃったんですね。
流石、有名剣士の孫と
言ったところですね。
非常に洗練された
技をお持ちのようです。
私は何人も引率してますが、
ルーキーがウェルキアを
一人で倒したのは
記憶にありません。
そんな危険な魔物
だったんですね。
八割から九割の確率で
死者が出ます。
そ、そんなに……。
正確じゃねーぜ。
声の主はコフィンの背中の方、入口側から聞こえてきた。
確率は大体の数字です。
正確ではないと言われれば
そうかもしれません。
コフィンは声色で誰か分かったらしく、平然とした態度ですぐに返事をした。
そっちじゃねぇぜ。
おめぇもルーキーの時
一人で狩ったろ。
そうでしたっけ?
あまり昔の事は
記憶が薄くて。
ケッ、
おめぇがそれを言うかよ。
声の主は、教官のキャロウェイだった。リュウやシャセツのパーティの引率者だ。ここに居るという事は、リュウ達も帰還したのだろう。
それにしても、コフィンがルーキーの時も相当の腕前だったのだろう。話を聞いていたユフィとアデルそしてロココの、コフィンを見る目が少し変わったようだ。
た~だいま~ぁ。
お帰りなさい。
その様子だと全員無事そうね。
ユフィの推測通り、リュウ達は全員無事のようだった。
…………
にく……
はぁ~疲れた。
いくらなんでも
張りきり過ぎだって。
おらウェイター、
麦酒急げよ。
声を発さぬシャセツにハルの肉に飛びつくタラト、フィンクスは相当疲れているようで、すぐテーブルに身体を預けた。女子二人はユフィ達と同じく宿に一度戻ったらしい。キャロウェイと一緒に引率していたもう一人のベテラン、モロゾフは遠くのテーブルに行ってしまった。
皆さん本当に無事で
良かったです。
大変でしたね。
まぁ大変だったかな?
何よ、長い時間探索に
行ってたから心配してたのよ。
魔物というより
あの二人かな……
お互いのパーティの出来事を情報交換する。協力しているパーティの利点で、二倍の情報を得れるというわけだ。
そしてどうやらリュウ達は、出会う一階層の魔物を討伐しつくしていたらしい。
タラトはリュウの声など耳に入らず真っ直ぐ戦闘を仕掛けるだけだし、シャセツは個人プレーで連携など皆無の様子。戦闘力は凄まじく高いが指示系統は無茶苦茶だったらしい。
そんな中、フィンクスの剣技が鋭く、しかもシャインとの連携もぴったりだったという話も聞けた。
しかも帰還中に
「下(二階層)に降りる」とか
言い出す始末だったんだぞ。
雑魚ばかりで
欠伸が止まらなかったからな。
頼むからもちょっと
歩調合わさねぇか?
明日は二階で
ウォーミングアップだ。
こんな感じ~
頼もしい仲間がいて
良かったわね。
だろ。
リュウの気苦労はこの先も絶えなさそうで、苦笑いとなってユフィに返された。