その時、鐘が鳴った。


鳴動するように
床がビリビリと揺れる。

なぜ今になって






景色が







揺らぐ。























































どうして出ていくんだ。
金に目がくらんだのか!?

……

そうです。家庭を顧みない、収入もない、下手なプライドばかりが高い、そんな貴方にはほとほと愛想が尽きたのです







なんだ、これは。





おお、本当に撫子に瓜二つじゃないか。
今日から私のことは「お父様」と呼びなさい

お前の望みどおり、森園への支援は続けるとしよう

違う! 何度言えばわかるんだ!
お前は撫子じゃない! 撫子はもっと

ああ、やはり育ちの違いはどうすることもできないのか。

そうだ。森園の家に置いて来た赤子がいるだろう。お前にそっくりな。
あの子を今から育てれば、

待ってください。あの子は、






この声は。




何故拒否反応が出る!
計算は合っているはずだ!

瞳子が、死んだ……?
馬鹿な、まだ西園寺に行ってから1年しか経っていないのに


これはオッサンの、

森園輝の声だ。







ならばここは過去なのか?
あの鐘によって俺は
別の11月6日に行ってしまったのか?






でも
何故、暗闇なん――



















森園にも灯里にも手は出さないという約束だったでしょう




あれは撫子?

いや、瞳子だ。

撫子のなり損ないが偉そうに私に指図か

撫子ならそんなことは言わない。あの親子とは面識すらない

私が撫子になりきれば、彼らには手を出さないと、

なりきれば? そうだな

なってもらおうか、撫子に













































































あ、あれ? 今のは




気がつけば元の時計塔の中。

目の前には
ナイフを振りかざした侯爵がいる。


そして

女が、俺を見ている。





今のは、あんたが見せたのか?


侯爵の握るナイフが振り下ろされる。







駄目だ!


















【漆ノ参】歯車と、簪と・参

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