レンセンパイは悔しがる不夜城助教授と実験場の片づけを、多椙センセイは可哀そうなチビクロを引き取ると、いつの間にか姿を消していた。
レンセンパイは悔しがる不夜城助教授と実験場の片づけを、多椙センセイは可哀そうなチビクロを引き取ると、いつの間にか姿を消していた。
ボクもレンセンパイを手伝いたかったのだが、強引にゴリさんに手を引かれたのだ。
ゆーま、こっちへいらっしゃい。
もう遅いから、わたくしが
家まで送ってあげるから。
あ、うん。
ほら、えるふも。そんなんじゃ
可愛いお顔が台無しですわよ?
ぐずぐず……は、はぁい……。
まったく、世話の焼ける子たちだこと。
わたくしです。宮本、
わたくしたちの位置は確認できて?
問題ありません。お嬢様と
ご学友のお二方の合計三名様ですね
ええ。それと何か甘いものを
四人分用意しておいて。
……? かしこまりました。
ようこそ、真白お嬢様の船へ。
そちらのお嬢様は初対面で
ございますね、私宮本と申します。
あ、はい。ゆーまです。
……宮本さん。
ふふっ。
お嬢様。何かいたずらをされていますか?
先ほどから不可解なのですが。
そんなことはなくってよ。それより 宮本。わたくしたち大事な話があるから終わったら席を外してちょうだい。
……承知しました。何かあれば
すぐお呼びください。
……四種類にするなんて、宮本も
意地が悪いわね。ゆーまはどれにする?
えっと、じゃあチョコがいい!
そう。なら、えるふは?
……ぐすっ、えーと、
じゃあイチゴちゃんで!
じゃあ、イナハは?
え? あたしはチョコって言ったよ?
……そうね。あなたはさっき、
チョコって言ったわよね。
……?
ああ……イナハ。可哀そうに、
こんな姿になって。
騙すようなことを言ってごめんなさい。
……ゴリさん? えっと……あっ。
そのとき、ボクはようやくわかった。それがゴリさんのひっかけだということに。
そして悪意がないのは、その抱擁ですぐに分かった。それは、ユイガ博士がボクにしたものと、おんなじ種類のものだったからだ。
昨日なにがあったのか、話して頂戴。 どんな内容であっても、
わたくしは信じると誓うわ。
う、うん。実は……。
――。
――。
――。
なんてこと、そんなことが……。
なんてことなの、想像以上だわ。
信じると言ったわたくしですら、
頭がクラクラしてくるような内容。
まさかこれほどとは……!
いえ、落ち着くのよ麗華。あなたの妹が愛しい人が困っているときに助けられなくて、なにが友人、なにが仲間なの。
大事な人の窮地を看過する、そんなかりそめの絆など、わたくしは欲していない
そう、わたくしは真白英雄の娘、
真白麗華。今こそあなたの
親友として命を捧げるとき……!
そしていずれは……。
そう、よくあることよね。大変
だったでしょう。お家まで送るから
今はゆっくりとお休みなさい。
えっ、そうなの?
ええ。話したことはなかったかしら
わたくしの父が、朝起きたら
シロクマになっていた時の話を。
ええ、知らない。聞かせて聞かせて!
……うふふっ。
ボクたちが談笑していたころ、そとではとんでもないことが起きていたのだった。
どうした佐々木、
ここを開けろ、開けるんだ!!
うおおおおおおっ!!
ふっ、無駄なことを。