無駄に豪華で広い食堂で、あたしはひとり和食をいただいていた。
無駄に豪華で広い食堂で、あたしはひとり和食をいただいていた。
知り合いは今は見えないので、気兼ねなくゆーまと今後について話し合っている。
ちなみに今あたしが好きな人については……予想通り大当たりだった。
じゃあご飯は普通に食べられるのね?
うん。ボクは食べなくても、
ぜんぜん平気なんだけど。
ユイガ博士やチャーリーとのエピソード、そしてあたしが死に至るまでの経緯。
そのすべてを聞かされた後も、あたしにはいまいちピンとこなかった。
目の前の少女が自分と同一人物であるなどとは。
外見や声、立場が違うと、ここまで印象とは変わるものなのだろうか。
それほどまでにこの画面の向こうの少女は、慎ましくお淑やかではかなげだった。
そんなセリフ、一度でいいから誰かに言われてみたいものだった。
ナーバちゃん♪
突然あたしの背後から優しい声がかけられた。
わわっ!? あ、えるふちゃん! こんちゃ、昨日はごめんね、ありがとう。
ううん、いいのよ。誰にだってひとりになって考えたりする時間は必要でしょ?
あ、でも昨日は私が蓮さんに一歩リード
しちゃったかも? うふふっ。
最強院えるふ。あたしのこの学校での記念すべきひとり目のお友達だ。
由緒正しい料理拳法家の家元のお嬢様で、今はいろいろ理由があって家を出奔中なんだとかなんとか。
御覧の通り見た目はどこにでもいるごく普通の女の子なのだが、聞いた話だとかなりの腕前の達人らしい。
でも、そんな家柄や肩書とは関係なくあたしと仲良くしてくれる、大切なお友達なのだ。
ちなみに料理の腕前だけではなく、歌もすごくうまい。歌手になったらいいのに、と思えるほどだ。
そのことを本人に伝えたら、悲しそうにほほ笑んだのが今でも心の中に残っている。
わあ、相変わらずすごい量。
それも勉強なの?
うんうん。おいしそうだから、つい研究がてらたくさん選んじゃった。料理家の修行っていうのは、毎日欠かさずできるものだからね。それと食後の運動も!
イナハ……。
あ……。ゴリさんまで! 昨日はごめんねその、迷惑かけちゃって!
ああ、無事だったのね、
イナハ……よかった。
ちょっ、ゴリさん!?
突然の熱い抱擁に、あたしは驚いた。
周囲の視線が集まるが、ゴリさんはそんなことにはお構いなしだった。
迷惑だなんて、そんな一言じゃ言い表せないわ。あなたがいなくなって、
わたくしが今までどんな思いだったか、あなたに想像ができて!?
いい!? あなたは死ねないの。わたくしの許可なくこの舞台から降りることは、断じて許しませんからね! よろしくて!?
ゴリアテ。……というのはあだ名で、本名は真白麗華。この大学に来てからできた、もうひとりの最初のお友達である。
彼女はこの真白大学の学長の娘で、やはり掛け値なしのお嬢様だ。
その名の通り、真っ白で麗しい華のようなご婦人だが、性格にはトゲもなくまっすぐでむしろ浮世離れした印象を持つ。
本人曰く、これといって特技の無い凡庸な人間らしいのだが、集中すると何でもそつなくこなしてしまう、すごい特技の人だった。
自分の知らないことに興味津々で、積極的に取り込もうとするのだが、どこか間の抜けたところが御茶目で見ていて楽しい。
死ぬなんて、そんな大げさな。
……あれ、珍しいねゴリさんが
ジャンクフードなんて。
ジャンクフード? わたくしはバーガーセットと聞いたのですけれど……。
どっちも合ってるのよ。ジャンクフードは公称で、バーガーセットは商標みたいなものね。
そうでしたの。ちなみにスマイルは
タダなんですって。得をしましたわ!
そうだね、あはは、おっかしい!
ほんとうにね、うふふ。
ふふっ。