その男の第一印象は、無機的な機械。いうなれば歯車だった。

動力さえあればいつまでも動き続ける。止まることを知らない。決められた作業を決められた通りに行う専用作業機械。

錆びることも壊れることもなく、その男はきっと未来永劫働き続けることだろう。

ユイガ博士は彼のことを「歯車の神」と心の中で命名した。

※ユイガ博士のイメージです。

シンブラック

初めまして、結賀博士。
私がシンブラックです。

オオスギ教授

これはこれは、シンブラック様。

……。

サキガケ博士

よいしょっと。

ユイガ博士

あの三人が自ら……。すると奴が本当にシンブラックなのか。それにこの重苦しい空気はなんじゃ。奴が現れたとたん、室内から光が消えたような感覚は。

シンブラック

あなたとは直接お会いして、こうしてお話したかった。いろいろと誤解も生まれたようでしたので。

ユイガ博士

誤解とな。ふむ、では話だけでも
聞かせてもらおう。

サキガケ博士

ささっ。

シンブラック

まずあなたを誘拐し監禁したことこれはすべてあなたを他の組織 から守るためでした。あなたの 重要性を考えれば当然のこと。

ユイガ博士

ふむ……。

サキガケ博士

ふむ。

シンブラック

法を犯したのは事実。そのことで不快な思いをさせたことは謝罪します。ですがどうしても、私にはあなたの力が必要だったのです。我々シンブラックの目的のため、どうか協力してほしい。

ユイガ博士

なるほどわかった。だがまずその仮面は外さんか? 正直息苦しくてかなわん。

サキガケ博士

かなわん。

シンブラック

これは仮面ではなく、私の素顔
なのです。そしてこの身体は
服ではなく私の素肌でして。

ユイガ博士

サイボーグ? それとも意志を持ったAI
かの? すまんが触ってみてもいいか?

サキガケ博士

さわりたい。

シンブラック

どうぞ。この身体は
僕の生まれつきですよ。

シンブラック

お気に召しましたか?

ユイガ博士

はあっ、はあっ……。今日のところは、このくらいにしておくかの……。

サキガケ博士

なにしてんの、このじいじ。

オオスギ教授

シンブラック様。お戯れはそのくらいにして、そろそろ本題を……。

シンブラック

ああ、そうでした。結賀博士。
協力するしないは、我々の目的を聞いた後で判断してください。きっとお気に召してもらえると
思いますよ。

ユイガ博士

なんと、ずいぶんと自信満々じゃな
ならば聞かせてもらおうじゃないか

サキガケ博士

ふとっぱら。

……。

シンブラック

我々シンブラックの目的。
それは……。

この世界の人間から、労働と
寿命を取り除くことです。

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