その男の第一印象は、無機的な機械。いうなれば歯車だった。
その男の第一印象は、無機的な機械。いうなれば歯車だった。
動力さえあればいつまでも動き続ける。止まることを知らない。決められた作業を決められた通りに行う専用作業機械。
錆びることも壊れることもなく、その男はきっと未来永劫働き続けることだろう。
ユイガ博士は彼のことを「歯車の神」と心の中で命名した。
※ユイガ博士のイメージです。
初めまして、結賀博士。
私がシンブラックです。
これはこれは、シンブラック様。
……。
よいしょっと。
あの三人が自ら……。すると奴が本当にシンブラックなのか。それにこの重苦しい空気はなんじゃ。奴が現れたとたん、室内から光が消えたような感覚は。
あなたとは直接お会いして、こうしてお話したかった。いろいろと誤解も生まれたようでしたので。
誤解とな。ふむ、では話だけでも
聞かせてもらおう。
ささっ。
まずあなたを誘拐し監禁したことこれはすべてあなたを他の組織 から守るためでした。あなたの 重要性を考えれば当然のこと。
ふむ……。
ふむ。
法を犯したのは事実。そのことで不快な思いをさせたことは謝罪します。ですがどうしても、私にはあなたの力が必要だったのです。我々シンブラックの目的のため、どうか協力してほしい。
なるほどわかった。だがまずその仮面は外さんか? 正直息苦しくてかなわん。
かなわん。
これは仮面ではなく、私の素顔
なのです。そしてこの身体は
服ではなく私の素肌でして。
サイボーグ? それとも意志を持ったAI
かの? すまんが触ってみてもいいか?
さわりたい。
どうぞ。この身体は
僕の生まれつきですよ。
お気に召しましたか?
はあっ、はあっ……。今日のところは、このくらいにしておくかの……。
なにしてんの、このじいじ。
シンブラック様。お戯れはそのくらいにして、そろそろ本題を……。
ああ、そうでした。結賀博士。
協力するしないは、我々の目的を聞いた後で判断してください。きっとお気に召してもらえると
思いますよ。
なんと、ずいぶんと自信満々じゃな
ならば聞かせてもらおうじゃないか
ふとっぱら。
……。
我々シンブラックの目的。
それは……。
この世界の人間から、労働と
寿命を取り除くことです。