【第十七幕】

『すれ違う二人、彼もまた新しい舞台へ』
































コウタ

あ、兄貴……

何を言ってるのさ

ユウキ

何って、お前こそどうしたんだよ

コウタ

いや、だから竹内さんが……

ユウキ

た、竹内さんが……?






 あれ、変だ何かおかしい。

 兄貴ってこんな物忘れが激しかったのか。

 それとも実は、ものすごく女たらしな性格だったのか。

 

コウタ

ちょっと、竹内マチさんの事だよ

あんたの彼女のさ

ユウキ

お、おれの……

か、かのじょ……

コウタ

ちょっといい加減にしろよ!

忘れるとか少し酷くないか!?

ユウキ

す、すまんごめんよ

大事な事だもんな

コウタ

は、はあ?































 それから俺達の間では『竹内マチ』の話題が消えた。

 さらに高校に上がるまで二人の間に見えない壁みたいなものが出来たような、結構気まずい仲になっていった。

 会話も徐々に減り、自身は基本勉学に没頭した。

 兄貴は常に「彼女ほしぃー」と言いながら遊び呆けている。




























そして俺は、


【神谷コウタ(16)高校一年】


になった。










神谷 コウタ

……

おはー、コウタ!

神谷 コウタ

おっす、ヒロキ






 彼は坂本ヒロキ、高校に入ってからの友人第一号だ。

 『チャラ男』ってイメージがあるようだが、実際は成績クラス一位の意外系男子くん。

 しかも俺が死ぬほど努力して入学したこの高校でだ。

 正直嫉妬もしている。

坂本 ヒロキ

女って良いよな

神谷 コウタ

突然なんだよ







 うん、でもやっぱりそういう血は流れているようだ。




坂本 ヒロキ

コウタってさ、妹か姉はいないのか?

神谷 コウタ

ウチは兄貴だけだよ

てかお前は女なら誰でもいいんか!

坂本 ヒロキ

へー、兄がいるんだ

イケメン?

彼女持ち?

神谷 コウタ

彼女は最近出来たって母さんに報告してた

本人曰く『クラスのマドンナ的存在』らしい

昨日もその人と出かけてたよ

坂本 ヒロキ

うらやましけしからん!

俺も可愛い彼女ほしいぞ

神谷 コウタ

そうか?

俺は全然必要ないね

坂本 ヒロキ

ぜんぜん前世?

神谷 コウタ

は?

コウタくーん

ちょっといい?

坂本 ヒロキ

あ、イケメン先生!

神谷 コウタ

あ、はい!





 まだ授業の時間ではないが突然教室のドアが開き、クラスの担任を務めるイケメン先生が俺に話しかけてきた。

 先生の本名は教えてくれない。

 本人曰く「国家機密」だそうだ。



イケメン先生

ちょっと俺に付いてきてくれるかな?

神谷 コウタ

こ、ここでは駄目ですか?




「きゃーイケメン先生♡」


「イケメン先生♡ 個人授業してくらはーい♡♡♡」


「すきすきすきすきすきやきぃぃぃぃぃぃぃx♡♡♡」


「アタシしってるよ♡ 先生ストリエはじめたっしょ♡ お気に入りしときまーす♡♡♡」


「うそ♡ それ初情報♡ アタシもアタシも♡♡♡」






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イケメン先生

困ったな、スマホの通知が止まらないね……

神谷 コウタ

や、やっぱり付いて行きます……

坂本 ヒロキ

てか女子の人数おかしくないか?

























第十七幕 終










【真相編】 第十七幕『すれ違う二人、彼もまた新しい舞台へ』

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