どうして考えないようにしたか、言いたくなかった、忙しくって言う暇が無かったと言えば理由にはなるが嘘になる。いくらでも言うタイミングは合った。ただ、怖かった。それだけなんだよ。

六十部紗良

まぁいいわ、分からないなら仕方ないわね

鮫野木淳

すみません。あっ、みんなの家はどうなんだ。俺の家みたいに入れるよな?


 鮫野木の質問に藤松が答える。

藤松紅

ああ、俺と凪佐の列車組はまず帰れない。駅に行っても列車は来ないし、それ以前に見えない壁の範囲外だしな

藤松紅

秋斗と六十部もそうだよな

久賀秋斗

そうそう、私も帰れなくって、いろいろと不便だったんだよね。やっぱ、我が家が一番だわ。アハハ

鮫野木淳

そうかい


 秋斗が自信満々に胸を張っていると小斗が鮫野木に話す。

小斗雪音

あのね淳くん。私も一度、家に帰ったんだ

鮫野木淳

それで


 俺の家から小斗の家は近くにある。

小斗雪音

それが鍵は合っているんだよ。鍵も開いたの、けどね開かないのどうしても

鮫野木淳

開かないって扉が?

小斗雪音

うん、試しにガラスを割って庭から入ろうと思ったんだ。けどね割れなかったの

鮫野木淳

お、おう


 入ろうとしたんだ。ユキちゃんにしては大胆だな。鮫野木は意外な行動力に若干、恐怖を覚える。

鮫野木淳

割れなかったんだ

小斗雪音

うん、ガラスが割れないのもこの裏の世界と心ちゃんが関係? しているいみたいだよ

鮫野木淳

そうなのか、六十部?


 六十部は質問に答えた。

六十部紗良

そうね。私と秋斗さんがここ来たとき、教えてもらったわ

六十部紗良

この裏の世界のオブジェは破壊不可能ってね


 そういえば六十部と秋斗は俺達より先にここに居たんだっけ、確かある集団と行動をともにしてて、その集団から裏の世界のことを教えてもらったんだったな。

鮫野木淳

教えた人は随分ゲームが好きなんだな

六十部紗良

そうなの?

鮫野木淳

そりゃ、例え方がゲームだからだよ。六十部はゲームしないのか

 裏の世界のルールを教えた集団の一人にゲーム好きが居たに違いない。この世界の一般人をNPCと例えたり、建物のことをオブジェと言っていた。ゲームを良くやっている証拠だ。

 六十部は「そう」と言いたげな表情をしてから答える。

六十部紗良

ええ、しないわ。やれるとしたら、ババ抜きぐらいよ

鮫野木淳

うわ、強そう

六十部紗良

そう見える。実際にやってみないと分からないわよ


 あなたは自信なさげに話しますが、俺からすればポーカーフェイスが強そうな人はそう居ませんよ。

久賀秋斗

サラッチは強いでしょう。なんとなくだけど

六十部紗良

なんとなくで強いかどうか決めないで


 秋斗の意見を広げないように六十部は別の話をし出す。

六十部紗良

ところで鮫野木くん、他に聞きたい事は無いの、無いなら明日のことで話があるんだけど

鮫野木淳

うん、もう無いかな。だいたいの状況は分かった

六十部紗良

そう、なら時間も時間だから。夕ご飯の支度をしましょう

小斗雪音

あっもうそんな時間なんだ

鮫野木淳

夕ご飯?

 鮫野木は外を覗いた。夕日で庭が赤く染まっている。いつの間にか時間が経っていたらしい。話に集中してたせいで気付いてなかった。

 小斗はリビングからキッチンに向かいながら秋斗と藤松に指示を出す。

小斗雪音

秋斗ちゃん。料理手伝って、それと藤松くん。いい加減テーブルの漫画、片付けてよね

久賀秋斗

おう、任せとけユッキー

藤松紅

はいよ


 小斗に言われた秋斗と藤松は言われた通りの行動を始める。秋斗はキッチンに向い、藤松はテーブルに積まれた漫画を片付け始めた。

鮫野木淳

夕ご飯、食べられるんだ

六十部紗良

別に食べなくても、この世界じゃ体に問題は無いし、お腹もしかないわ

凪佐新吾

雰囲気だけでも食事をしようって、小斗ちゃんが言ったんだ

鮫野木淳

そうなのか


 ユキちゃんは意外な事に気が付く、それが割と重要だったりする。食事をしょうと提案したのは何かに気付いたからだろう。

鮫野木淳

シャワーを浴びたのもそうか

六十部紗良

何、覗きたかったの?

鮫野木淳

んなわけあるか!

凪佐新吾

鮫野木くん、同様すすぎじゃない

鮫野木淳

凪佐くん


 凪佐に不意打ちを食らって動揺してしまった。けして、六十部に覗きにを疑われたわけじゃない。
 何か話を逸らす話題はないか、話題を求む。

エピソード47 決戦前夜(4)

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