無言の車内に、アプリゲームの音だけが響き渡る。
……。
……。
無言の車内に、アプリゲームの音だけが響き渡る。
UMA-3000があれほどお願いしてインストールしたデータは、ただのゲームのようだった。
手の込んだイタズラだったのだろうか。ゲームの売り込みにしては斬新といえなくもないのだろうか。
そんな空気が漂い始めた直後――。
ふう、やっとまけた。ただいまー。
なんの着信も予兆もなく、UMA-3000の顔が画面いっぱいに映し出される。
わわっ、びっくりした、驚かさないで!
いきなりの登場に、あたしは再びスマホを取り落としそうになる。
貧乏学生にはつらい出費だったのだ。まだまだ壊すわけにはいかない。
あはっ、ごめんね。でもちゃんと
インストールしてくれたんだね、
ありがとう。
悪びれもせずにこやかに言う彼女に、あたしは違和感を覚える。
えっと、あなたあたしとどこかで会った?
初対面にしてはすごく親しげだし、あたし自身もそれに違和感を覚えないことに、違和感を感じていたのだ。
えっ、もしかして、覚えてないの?
そっか。いろいろ大変だったもんね、 お互い。
ひとり納得する彼女に、納得が行かないあたしはただ戸惑うばかりだ。
こんな個性的なお友達がいたら、覚えていないはずがない。もしそんな状況があるとすれば、それは。
もしかして昨日の昼に何があったのか、あなたは知っているの? その時にあたしと会ってるとか?
うん。でもその前に教えて。そこの
おじさんは、信用できる人なの?
おじ……。
あ、あはは。おじさんじゃないでしょ、おにーさんでしょ、ゆーまちゃん?
おじさん……。
あ、うん。ゆーま、ね。いろいろ考えてたんだけど、その名前いいかも。
そっちですか、お嬢さん。まだ名前なかったのね。というか、あん兄そういうの気にしない人かと思ってたんだけど、結構気にするのね。幼女じゃん、子供じゃん、おまけにドロイドじゃん。悪気なんてないんだから気にしちゃダメ。
あたしのフォローの甲斐あってか、あん兄の心が広かったのか。二人は無事車を降ろされることはなかった。
そしてゆーまは語りはじめる。あの日にあった出来事を。
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