いまどき紙に手書きのレポート。それに読みにくいなあ。書いたの誰だろ?

おーい、稲葉。休憩時間はとっくに　　過ぎてるぞ。また迷子になってるのか?　社員が探してるぞー。おーい。

レンセンパーイ。わざわざ探しに来てくれたんですか、あざーっす。気になる本があったからつい読みふけっちゃって。

……まったく。シンブラックのバイト料は安いけど、なまけていい理由には　　ならないぞ。安いけどな。

そうそう、いまどき時給250円は
ないわよねー。

そう?　一分で250円なら一時間で15000円でしょう?　悪くはないと思うのです　　けれど……。

あ、違うのよゴリちゃん。時給っていうのは、一時間でもらえる金額のことを　いうの。だから……。

えええっ。それじゃあ雇用主丸儲けではございませんの。見てくださいまし、　この検品の書類の束。そのための契約書でしたのね、きいい、くやしいーっ。

わあ、すごいねゴリさん。一人で百人分くらい仕事したんじゃないの。ひと山ちょうだい。

こらこら、社員が見てるぞ。まあ、この仕事はシンブラックに内定もらうためのゴマすりみたいなところあるからな。

まあ、うちらは蓮先輩に内定もらえればそれでいいんすけどねー。

……またよからぬこと考えてるな。　　いっておくが俺は部外の研究員だから、ここの内定はやれんぞ?

そ、そうだ。お弁当たくさん作ってきたの。お昼だし、みんなで食べましょ?

よろしいですわね。えるふの手料理は　わたくしのシェフにも見劣りしませんし今日のお紅茶も楽しみにしていてよ?

わーい。じゃああたし
お湯くんでくるねー。

給湯室は部屋を出て突き当りを右だ
間違えるなよ。

まったく、いくらあたしが方向音痴だからって、建物内で迷うわけないじゃないですか。心配性だなあ。

えっと、突き当りを……。

右。

あれ?　おかしいな。まあいいや、
こういう時は迷わず進むべし。

……。

…………。

あれ、なんだこれ。介護用ドロイドがいっぱい並んでる。あ、これ見たこと　あるかも。一昔前に人気出たやつだよね。人型で介護士の免許いるんだっけ。あたしも一応資格もってるけど。　　　今はもうコレクターの愛玩用だよね。

……。

かわいいな。一つ欲しいかも。

にゃーん。

あれ、なんだ君。迷い猫かい?
おいで　おいでー。にゃーお。