――近所の病院にて。

流石に時間かかるなぁ。

 ワイフは近所の病院に来ていた。



 病院の待合室は混雑しており、大勢の人が自分の名が呼ばれるのを待っていた。

ウウッ!

 斜め後ろから苦しそうな声が聞こえてきた。

 何事かと自然にチラ見をするワイフ。すると80は超えているであろうお爺さんが、スマホを片手に苦戦しているようだった。

まぁ、苦戦すんのも無理ないか

 そう胸中で片付けたワイフは、自分のスマホを取り出しいじくり始めた。

奇声を発する爺さん

ウッ!ウゥッ!

 操作に慣れなくて出る声なのか、身体の不調で漏れる声なのか。時折お爺さんの声が斜め後ろから聞こえてくるのです。

大丈夫やろか?
まぁ病院やから大丈夫やな。

 長い間待たされてる時の不快音にストレスを感じても自然なところ、お爺さんを心配する大人対応(心理的に)のワイフ。お爺さんは声を発しながら、スマホを大きな動作で操作し続けていた。

 そこから病院での用事も一段落して、あと薬を貰うだけの状態になった。

あー、長かったぁ~。
帰りに百均でも寄って帰ろ。

 薬待ちの椅子で待つワイフは、もう帰り道の事を考えていた。百円均一が大好きな話は長くなるので、50年後ここに載せる予定。生きていたら読んでやって下さい。

奇声を発する爺さん

ウヴッッ!

 気が付けば、又ここにもあのお爺さんが居た。しかもまた斜め後ろで。嗚咽するような声は止まっておらず、やはりスマホの画面を不器用そうに下から上に擦っている。

奇声を発する爺さん

ウウウゥヴ!!

うわ、又、居はるわ。
ほんま大丈夫かいな。
おっと、名前呼ばれた。
よし、ほんなら
ここもこれでおさらばや。
爺ちゃんお大事に……

 薬を受け取り出口に向かうワイフ。もう家に帰れるという解放感から、足取りは給料日前の財布より軽かった。

奇声を発する爺さん

ウウッ、ウッ、ヴッーー!!

でも何してんねやろ?

 駄目かなとも思いながら、やはり興味の方が先立つワイフ。お爺さんの横を通る時に、こそりとスマホをちら見した。

お爺さんはポケGOで

モンスターボールを

錯乱したように

投げまくっていました。

第十三話 『スマーホホスピトゥル』

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