誘拐騒動 その4

ククリ

だああ、もう邪魔! どけ!

ひーっひっひっ生贄!

スネイク

神様の胃袋の中はゴメンだぜ!

お? お? やるってか? ……いいぜ、相手してやるよ。

俺様のナイフさばき

顔面にぶち当たる、矢じりの代わりに特大の重しのついた矢。
言葉もなく仰向けに倒れる男。

ククリ

狂信者とは言え、流石に殺生は勘弁してあげるわ♪

スネイク

二度と起き上がれねえ傷を負った気もするが……

な、なんなんだてめえら。そんな武器持ち出しやがって。ただの町人じゃねえな!?

ククリ

ただの町人が2階にいきなり侵入するか! 頭を使え!

ひええ、キレる女!

乱闘に次ぐ、乱闘。

ホコリ舞い、棚からは調度品が転がり落ちガシャンガシャンと音を立てる。
さながら、嵐の様相。

一方、場面変わって。

やばい、遅れるところだった!

たるんどるぞ! 我らが儀式は規律が大事なのだ。規律の乱れは許されん!

すまんすまん……

では! 向かうとしようか儀式の場に!

…………

重々しく開かれる扉。その中には――

うわああああもう許してくれーーー!

おほっほほ、それは許されなくてよ。あなたは生贄。この祭典を最後まで見届けなくてはいけないのです。

あなた達! 主賓へのもてなしが足らないワ!

イエス・マム!

わかっておりますとも!

さあおっちゃん、しっかり見とくれよ! おお、グラスが空じゃねえか。ついでやるからよっ!

よせ、要らん……!

さあ始めるわよ~~

うわあああああああああああ!!

奇っ怪な踊り。魂吸われるような地獄の踊りを強制的に見せられている!

―暗黒舞踏会―

屋敷のご婦人の暇つぶしとして始まったこの催しに、強制的に参加させられること。それが儀式と生贄の正体だったのだ……!

哀れ、生贄に選ばれた町人の悲鳴がホールにこだまする!

おい、ここか? 間違いないか?

大丈夫です。ファミリアの反応が強くなっています。

行くぞ

リチャード

くだらん儀式は終わりだ! 全員動くな!

リチャード
アルマド
リチャード

部屋間違えたか?

アルマド

いえ?

リチャード

日付を間違えたとかは。

アルマド

現実を見ましょう……

リチャード

ええい、クソッ説明してくれ! 神への生贄だとか、娘を誘拐したとかは何なんだ!?

なぁにあなた! 失礼しちゃうワ。ウチじゃそんな野蛮なことはしてなくってよ!

アルマド

どういうことでしょう。何か行き違いがあったのでしょうか……?

ひええ、こいつら徹底的にやるぞ!

スネイク

暴れるだけが取り柄っていつも言われてるからよ!

ククリ

ハッ!

鮮やかなケリ……顔面に直撃!

ぎゅーーー

ククリ

さて、あらかた片付けたかしら。

ククリ

そこの子、なんか動きが変だったけど、とにかく屋敷から連れ出しちゃえば解決、でしょ。

……!

待った!

その時、廊下の向こう側。かけてくる影。

はぁ、はぁ……これ以上は、やめてください!

スネイク

なんだ? ぼっちゃんも援軍か? いいぜ、容赦しねーからな。

ユーキ!

ククリ

あ、ちょっと……!

少年のもとに駆け寄る少女。

ごめん、準備に手間取った……

ううん、いいの。来てくれた……

スネイク

どういうことだぜ? 誘拐犯と知り合い……だってのか?

ククリ

……説明してくれるんでしょうね。

続く

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