Wild Worldシリーズ
Wild Worldシリーズ
レダ暦31年
砂の町のメール屋さん
13
いつもと違う場所から城下町へと入ると、どうしてか世界まで違って見える。
戻ってきたと思うと、なぜか照れた。
リウトたちを迎え入れるかのように空はよく晴れていて、やさしい風は道端に咲く花をゆらしている。
気のせいか、外に出ている人は多く、みんな浮き足立っているように見えた。
笑い合う人たちが多い。
何だろ?
何かいいことでもあったのかな?
リウトが呟くと、ユニも首を傾げた。
街の様子がおかしい。
しかし、悪い意味ではない。
いい変化も気になるが、とりあえず城へ向かわなければ。
早く王様に会いたい
クローブに会いたい
リウトの歩調は軽い。
そんなリウトに、ユニは一瞬微笑んだ。
リウト! 戻ったか!!
ダイオスっ!!
そろそろ戻ってくる頃だろうと踏み城下町の入り口付近でうろうろしていたダイオスが、リウトたちを見つけ突いていた杖を振った。
リウトはダイオスを見つけるとすぐに駆け寄った。
ウルブールに帰ったんじゃなかったの?
帰ろうと思ったんじゃが、馬車の定期便に間に合わなくての
お前さんがたも気になることじゃ
最後まで見届けてもいいと思っての
ダイオスは楽しそうに話す。
リウトは嬉しくて泣きそうになった。
アルトという者には会えたのかの?
うん! やさしくていい人だったよ!!
それはよかったのぅ
笑い合う異色のふたりを、通りすがりの人が好奇の目で見ていたりする。
しかしそんなものは気にならない。
少し行動を共にしただけだが、こうして気にかけてもらえるのはとてもありがたいことだ。
出会いは宝物。
全ての出会いに感謝することをリウトは決めていた。
ハッと気が付くと、ユニがいない。
右にも左にも、後ろを振り返ってみてもいない。
……あれ? ユニ?
彼女なら先に城へ向かったぞ
いつの間に?
ダイオスも知っていたなら教えてくれればいいのに
リウトは不満げに声を出した。
一緒に行けばいいのに
彼女は隠密じゃ
ダイオスは声を抑えて言った。
たくさんの人の前に自分の姿を晒したくないんじゃろ
でも……
心配せんでも、城内でまた会えるはずじゃ
最後まで一緒にやりとげたかったと拗ねるリウトに、ダイオスはにっこり笑った。
わしらも、城へと向かうとしようかの
ダイオスが通行証を持っていたので、今度はすんなりと城の中へ入ることが出きた。
門番は以前と同じ兵士で、リウトが来たことをクローブへしっかりと伝えておいたとこっそり教えてもらい、リウトはまた嬉しくなる。
遅かったわね
ユニが早すぎるんだ!!
出迎えに来たユニに口を尖らせてみるけれど、ユニが何の反応もしないから、リウトは余計に拗ねて、ダイオスは笑った。