片倉

殿、またこのような手紙が来ております。

手紙の内容はひのをよこさなければ兵を差し向ける。

経丸

片倉、霜河ってどこの大名だ?

片倉

私調べたのですがどこの大名でもありませぬなぁ。

経丸

大名でもない奴が兵を引いてくるとは、笑わせくれるは。

経丸は笑っていた。

片倉

しかし殿どうも引っ掛かるので霜河のことを詳しく調べておきます。

経丸

まぁ念のため頼むよ。

片倉

はっ

ひのはその話をこっそりと壁に耳を当てながら聞いていた。

稲荷

殿ー。

経丸

どうした、稲荷。

稲荷

あのおなごが見つからないのです。

経丸

あのおなご?

稲荷

ほら、この前まで寝ていた。

経丸

あーひのの事か。

稲荷

ひの?

経丸

そのおなごの名前だよ。

稲荷、女の子の枕元にこんな手紙がおいてあった。

経丸

見せて小鹿ちゃん。

あっ殿もおいででしたか。

手紙には皆様、ご迷惑をおかけしました。あなた方のご恩は忘れません。これ以上の迷惑をかけられないため失礼させていただきます。と書かれていた。

殿、これはどういうことなんですか?

経丸

我にもわからん。あっ、もしかしてさっきの片倉との会話を聞いてたのかなぁ。

会話?

経丸

さっき片倉と話してたんだよ。霜河という者がひのをよこせと、よこさなければ兵を差し向けると言ってきたのでどう対応するかを。

稲荷

なるほど、それでひのは迷惑をかけないよう霜河のところへ行ったということじゃないですか?小鹿さん。

それは考えられるね、ひのが殿の会話を聞いていたかもしれないし。

士郎

殿ー。

士郎が陽気な顔して歩いてきた。

士郎

どうしたのですか。そんな深刻そうな顔して、おやまぁ皆深刻そうな顔してるよ。パッとしないなぁこんな天気の良い日に城にこもっていたらいけないよ。稽古でもしなくちゃ皆もあの寝てた女の子でさえ元気に歩いていたんだから、皆シャキッとしなくちゃ。

経丸

女の子!!士郎ひのが歩いていたって。

経丸は勢いよく士郎に迫った。

士郎

そんなビックリすることないでしょ。殿ってかひのって誰?

経丸

今まで寝ていた女の子のことだよ。

士郎

あれひのって言うんだぁ、どんな字書くのだろうか。

稲荷

そんなこといいからどこ歩いていたんですか、師匠。

士郎

おやおや皆顔色変えてどした。

経丸

いいからどこ歩いていたんだよ。

士郎

1時間くらい前に外ですれ違いましたよ。

経丸

今からひのを連れ戻しに行くぞ。

待って殿。1時間も前じゃひのはもうどこにいるかわかりませんよ。

経丸

しかし今追わないと。

少し落ち着いてください。もしひのが霜河のところに着いていたら霜河の身元もわからない状態で探してもたどり着きませんよ。まずは霜河の身元を判明させなければ。

凜は経丸を落ち着かせるように背中をさすりながら、

殿。深呼吸、深呼吸

凜の言葉を聞いて経丸はふぅーと息を吐いた。

するとすぅーとふすまが開いた。

片倉

殿ー、申し上げます。霜河の身元がわかりました。

経丸

何!!

片倉

霜河は砂東家の家臣だったのですが謀反をおこし砂東家の当主砂東立弘を殺して今砂東家を乗っ取っております。

経丸

てっことは。

片倉

すなわちひのは砂東家の者だった可能性があります。

経丸

なぜそのようなことがわかる?

片倉

憶測ですが霜河鷹雪は砂東を潰したってことは完全に砂東の者は皆殺しにしたいのです。1人でも生きてるとそいつに仕返しされる可能性があるからです。

経丸

じゃあひのを追いかけてるってことは砂東家の者だからかぁ。

殿、これでひのは殿の会話を聞いて霜河のところに行ったことは間違いありませんよ。

経丸

そうだな。

片倉

小鹿殿、ひのが霜河のところに?

さっきまでの会話をきいていない片倉は状況を把握できていなっかた。

片倉さん、後で説明します。

経丸

片倉、砂東の城だった場所はわかるか?

片倉

はい、わかります。

経丸

これで居場所はわかった。今からひのを救出するぞー。

稲荷

おー。

経丸達はひのを助けに向かうべく城をでて行ったのである。

pagetop