経丸

士郎その傷はどうしたんだ。

士郎

階段で転んでしまって、ハハハ。

片倉

そんなことよりそこにいるものは何者ですか?

士郎

そんなことよりだと、せっかく殿が心配してくれてるのに。

稲荷

ぼくは稲荷と言います。士郎師匠の弟子でございます。

士郎

だから弟子じゃなくて友達だって。

片倉

勝手に変な人連れてきて。

士郎

なんだと。なにが変な人だ。

片倉

そなたの事を師匠と言うなんて変な人に決まってるじゃないか。

士郎

なんだとこの野郎。

経丸

まあまあ、いいじゃないか我は仲間が増えて嬉しいぞ、よろしくな稲荷。

稲荷

はい。

経丸

よし士郎まだ仲間を増やしたいから探しに行こうか。

士郎

はい。

片倉

殿、これ以上変な人を城にあげるのはおやめください。

経丸

かたいこと言うな、片倉ではいくぞ。

片倉

はぁ~

深くため息をついた。

経丸

おい士郎、そんなところ歩いていると危ないぞ。

士郎と稲荷は、石橋の端の一段高くなった石段を歩いていた。
稲荷が足を滑らした。

稲荷

やべぇ

とっさに士郎の服を掴んだ。掴まれた士郎もバランスを崩し2人は川に落ちていった。
経丸は2人を助けようと急いで飛び込んだ。しかし経丸は泳げないのであった。

片倉

とっ殿

片倉も急いで飛び込んで経丸、士郎、稲荷の3人を抱えて岸に上がった。

稲荷

師匠あれを見て。

士郎

あっ。

そこには両手両足を大の字のようにして2本の木にくくりつけられてる女の子とその女の子を何人かの男が囲んでいる。

男達

悪いが死んでもらおう。

士郎

そこの者達何をやっておるんだ。

男達

何者だ!

体格のいい男たちが怖い顔で振り返った。

士郎

人気者だあー。

稲荷

いいぞ、師匠。

士郎

だから師匠はよせって。

男達

てめぇらふざける相手間違えてるぞ。怖い目に遭いたくなければさっさと去りな。

稲荷

おなごを見捨てて逃げるなど男のすることではない。ねっ師匠今のセリフかっこよかった?師匠ねっねっ

男達

ごちゃごちゃうるさい野郎共だ、死にやがれ。

男達が襲いかかってきた。

経丸

片倉やるぞ。

片倉

はっ。

襲いかかってくる奴らを片倉は相手の懐に入り
1人腹を切り回転しながらもう1人の背後に回り込み背中を切り付けた。そしてすぐに2人を相手に苦戦している経丸のところに駆けつけた。
経丸を相手していた1人は片倉の勢いに恐れて逃げ出した。経丸は相手が1人になりそいつを正面から斬り倒した

経丸

我が殿天羽経丸ここにあり。

大声で敵に自慢するように言った。

士郎は両手両足を縛られてる女の子の縛ってる縄の方から弓で射抜いて外した。すると両手が離れたその瞬間、女の子は頭が勢いよく地面に向かっていった。
もう頭を地面にぶつけるその寸前で稲荷が間一髪女の子の頭を抱えた。

女の子は色白でとてもきれいな顔をしていた。
稲荷は急に顔が赤くなった。
士郎がすぐさま両足の縄をすぐさま射抜いた。
女の子は稲荷の上にドサッと落ちた女の子はすぐさま降りて小さい声で

ひの

ごめんなさい。

稲荷の元から離れて士郎達に頭を下げて足と肩を押さえながらふらふらしながらこの場を去ろうとした。

片倉

そなた。弟子に追いかけさせなくてよいのか。

士郎

えっもしかして城に連れて行っていいの?

経丸

怪我人をほっておく訳にはいかないでしょ。

士郎

お主もいいとこあるんだな。

片倉

余計な一言を。

士郎

そういえばあいつさっきも助けてくれたな。
意外といい奴なのかもしれない。

士郎は稲荷に女の子を呼びにいくように言った。
稲荷は喜んで女の子を呼びに行った。稲荷の後ろ姿を経丸達3人はにこやかに見守っていた。この出来事が宿敵を生むことになることを経丸達はまだ知らないのである。

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