金属のこすれ合う音が
上下左右から響く。





時折、

火花が散るのも
以前に来た時と同じだ。







……そう言えば







最初に
紫季に連れられて来た時は
この奥に扉があった。


扉を抜けて

木下女史が殺された
あの夜に行ったのだ。








それ以降も撫子に似た女に
何度も過去に飛ばされたが

その時は、
1度たりとも扉は通っていない。






























……あるのか?




いくつもの歯車が重なり合う、
その奥に足を進める。





あの扉を通って来たのなら

救ってくれると信じています






条件を揃えていなくても……?

いや。元々俺がつなげて考えていただけで、紫季とあの女とは別々のものだとしたら

扉さえ抜ければ元の世界に戻れる……の、かも、しれない

……

……いいのか? それで












俺は





大庭……く……

見ているだけでいいのか?
救える命があるのに

本当に手を出すことは
叶わないのか?













このまま元の世界に戻れば

またひとり
見捨てるだけになるんじゃないのか?







































































……あった……



記憶のままの扉を前に
晴紘は立ち尽くした。

この扉を通れば……

……開かない


案の定、扉はびくともしない。

























ああ、そうだ。

この扉を開けるには

鍵が必要だったはず。



前の世界なら紫季が持ってたんだけど

そう言えば、あの時は扉を通らなかったな







タイムリミットはあとわずか








あの意味も気になる

……





きりがない。











とにかく、扉を抜けるにはこの世界の紫季を探せばいいのか?



しかし

先ほど見て回った家の中に
紫季の姿はなかった。


下手するとここは
紫季の存在しない世界かも知れない。






灯里のいない世界もあったのだ。

紫季がいない世界だって
無いとは言えない。







いや、それとも

あの臭いは……もしかして











ふ、と
最悪な結末を思い浮かべる。

























タイムリミット……?

い、いや! それは困る!

何が困るの?




扉の前で晴紘がそう呟いた時、





背後から
声が聞こえた。













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