辛く苦しいテストと甘く優雅な休日が過ぎた翌日。

今日は楽しいテスト返却日だ!!

目を覚ましたその時から、テンションは最大級におかしかった。





徹夜して頑張ったのだ。





きっと良いに決まってる。











………いいよな?





自信の現れではなく、不安とプレッシャーによる変なテンションなのは自分でも気づいていた。





いや、むしろ自分だからこそ気づいていたのだ。





もちろん、テストは解けた………気がする。





テストが返却されるその瞬間まで、何があるかわからない。





嗚呼、恐ろしやテスト…。

ほとんどのテストは午前中で返され、残るは最大級に自信のない物理だけとなった。





…いや、できたっちゃできたのだ。





計算問題は解けたし、単語の穴埋め問題も全て埋めた。





しかし、過去に何度もそんな感覚を味わいながら酷い点数を採ったことがあるのだ。





それに、前までは30点未満だったテストが、今じゃ40点未満だぜ。





勉強の甲斐があり、今だ赤点はゼロ。





超苦手な数学も45点とギリギリセーフだった。





最後の最後で赤点なんて嫌だ…。





一緒に昼飯を食べる延彦の会話が耳に入らないほど、俺はそんなテストの行方を神に祈り昼休みを過ごした。

伊村延彦

………信一~

大野信一

………

伊村延彦

………おーい

大野信一

………

それじゃあ、テストを返しまーす!

ついにその時が来たのだ。





出席番号の前の方からドンドン呼ばれて呼ばれていき、一人一人の表情がが喜怒哀楽に変わっていく。





俺も俺で、まだかまだかと急かす気持ちがある一方、欲しくない欲しくないと拒絶する気持も存在し、矛盾した気持ちの両方がスクランブルする複雑な心情だった。





自分でも面倒くさい奴だと言う自覚はあった。





ただ、テスト返却なんて勉強すればそれだけ普通じゃいられなくなるのだ。





大きな声では言えないが、気持ちとは裏腹に、落ち着けようと頭ではえ、え、え、…

エッチな事を考えてました!!

仕方ないよね、普通じゃないんだから。





ただし、自分でもしっかりと制御はしている。





あまり深く入り込まないように、意識して意識して…。

次は…大野~

大野信一

ひゃいっっっ!!

まっピンクな頭の中が一変。





瞬時にテストの頭に切り替わった。





…そうだ。テストだ。頼む…努力に見合う結果よ、ついてこい。





先生から解答用紙を受け取り、それを自分の机まで持っていく。

伊村延彦

おい、お前息荒くね?

大野信一

はぁ~、はぁ~、そ、そうかな!?

伊村延彦

普通じゃねぇーよ…

高得点のテストをヒラヒラさせながら、信彦は俺を心配そうに見てきた。





…羨ましい。





その高得点を俺によこせ…。





紙を机の上に置き、深呼吸を一つ入れた。




















…よし、見るか。





俺はテストの解答用紙を開いた………。











点数は………































40点!!!!

大野信一

あぶねぇぇぇぇ!!!!

ぶっちゃけ、未満と言う言葉が存在しなかったら俺は今頃爆死していたかもしれない。





俺たちは幸せなんです。





ありがとう未満。





そして、ふざけんなボーダーライン十点増。





こうして、地獄のテスト返却は終わりを迎えた。

気分がだいぶスッキリし、変なテンションからも解放それた放課後。





俺達はいつもの様に家路へとついていた。

羽島桜

信一くん、赤点が無くて良かったですね

大野信一

おぅ、これも二人のお陰だな

早川実

ふ、ふんっ!! 感謝してもいいんだからねっ!!

大野信一

ありがとう、心から感謝してるよ

早川実

~~~!!

羽島桜

むぅ~、信一くん、私には?

大野信一

桜もありがとう!

羽島桜

はい!

二人には本当に感謝をしている。





二人が教えてくれたお陰だから…。





そして、言うまでもなく二人は赤点どころか平均点すら余裕で越えていた。





ただ…。

大野信一

実と桜って、どっちの方が今回点数高いの?

羽島桜

同じ!!

早川実

同じ!!

大野信一

…え?

羽島桜

同じなんですよ

早川実

点数がね

大野信一

へ、へぇ~

…本当に仲が良いんだな。この二人。





テストの点数まで被るなんて本当に凄いと思いました。

和田 守男

あっ、あの!!!!

そして刹那、後ろから声が聞こえ振り替えってみると、そこには同じ高校の制服を着た男子生徒が一人立っていた。

大野信一

え、君は一体…?

和田 守男

えっと、その…

和田 守男

羽島さん!!

羽島桜

はいっ?

和田 守男

僕と付き合って下さい!!

突然過ぎる展開に誰もがしばらく反応する事が出来なかった。





しかし数十秒後、住宅地のど真ん中で、以下の物が鳴り響く。

えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?

第16話 冴えない頭の生かし方

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