カチカチカチカチ

さて、そろそろ今夜に向けて
お家で休まれませんこと？

マヂで今日も行くのか？

ええ、もちろんですわ。

カチカチカチカチ

あの…僕も一緒に……？

もちろん。
下僕さんも、ぜひ
私の家のお庭でおやすみください。

庭……。

む！

そろそろ俺の前からどかんかい！
通行人が見えん！

まさか、オマエが
こんなにも口の軽いヤツとは
思わなかったぜ。

ご、誤解だよ、住吉さ……

……その名前を出すな。

は……はい。

んー？

お？大林。
その子誰だ？

ぎっくぅぅぅ！

マズい、気づかれたぞ……。

お顔をそんなに近づけて、
仲のよろしい事ね。
紹介していただけるかしら？

ひぃぃぃ

あ、あの……

私、添田　由実です。
大林くんと前の学校で一緒でした。

へー。

今は大林くんの
彼女です。

　　か……　　

彼女ォォ！！！

ほぅ……。

え……。
ちょっと、あの……すみよ……。

いいから、オマエは黙ってろ。
それから、アタシは由実だ。
オマエの彼女の、な

はい。

そ、そんなの
なんとなく気付いてましたわ。

Oh、ブラボー！
やるなぁ、ベビーフェイス。
DTじゃなかったか。

え？いや……
アハハハ。

彼女……
かりそめでも彼女……
住吉さんが彼女……

というわけで……。

私と大林くんは
これからデートなので、
みなさん、
すっこんでろください。

ちょ……

うひぃ……。

無粋な方々は
好きじゃないです。
長生きできないですよ？

なかなかお口が達者なようね。

可愛らしい見た目とは裏腹に
住吉さんの攻撃的な口調が
前面に押し出されてる！

ともかく、
早いところこの場を離れないと
一触即発だぁ。

そろそろ、僕たちはもう行くから、
みんなまた来週！

ふーん……。

じゃあ、うちらもこれから
デートしちゃうか？

え？デートって？
鏡野さん……肝田くんと付き合ってるの？

は？

うひっ！

肝田は奴隷って
言わなかったっけ？

言ってました。
はい。
絶対に言ってました。

じゃあ、マナビヤくんと
付き合ってるの！？

お？
俺と正拳でも突き合うのか？

バーカ！
違うって。

チラッ。

ポッ……

えっ！？

ふむ

よし、肝田。
俺もオマエと拳で突き合うか！

マナビヤ如きが俺に敵うわけもなかろう。

お、やる気じゃのう。
では、早速一戦交えるとするか。

……しまった。
また心の声を口にしてしまった……

あ……いや……デート……。
マナビヤくんと……。

ふむ。

来る女子との逢引きに向けての
殊勝な心がけ、しかと受け止めたぞ。

よし、今日は俺が胸を貸して
肝田の逢引きの指南をしてやろう。

ひぃぃぃ！！！
カンベン……

なんか、
向こうは向こうで盛り上がってるから、
僕たちは行こうか。

オマエが指図するな。
この口軽男！

それは誤解だってぇ……。

さっさと来い！

はい。

てくてくてくてく

てくてくてくてく

てくてくてくてく

てくてくてくてく

てくてくてくてく

てくてくてくてく

……で。

うん。

何故あなた方は
一緒に来てるんですかねぇ？

えー？

もちろんおデートですわ。

ライバルは多い方がいい。
それが俺のモットーじゃ。

え……あ…なりゆき。

クッ……しくじった。
変わり者との関わりは
拒むものと思ったが……。

わくわく

ドキドキ

こうも、好奇心旺盛だったとは。

授業時間を睡眠時間に充てて
クラス内での観察を怠ったかツケが回ったか……。

自戒せねば、な。

あの、すみ……
添田さん？

……なに？

僕、初めてのデートで
ドキドキするよ。

……。

キッ！

ヒッ！

怒ってるいつもの住吉さんの
オーラみたいなのが見えたぞ……。

こ、こいつはァ
ドキドキだぁ……。

さぁて、網の準備はこんなもんですかねぇ。

引っかかってくれるといいなァ。

えへへ。