あらから約一時間、謎の液体とルールの書かれた紙を眺めている。
こんな常識的にありえないモノ信じられるわけがない。
でも、ほんの少しだけ試してみたい気持ちもある。
本当にモノを消すことができるのだろうか。
そこで飲みかけの缶ジュースで試してみることにした。
まず缶ジュースをテーブルに置いて液体の蓋をそっと開ける。
恐る恐る缶ジュースの影に一滴だけ垂らした。
あらから約一時間、謎の液体とルールの書かれた紙を眺めている。
こんな常識的にありえないモノ信じられるわけがない。
でも、ほんの少しだけ試してみたい気持ちもある。
本当にモノを消すことができるのだろうか。
そこで飲みかけの缶ジュースで試してみることにした。
まず缶ジュースをテーブルに置いて液体の蓋をそっと開ける。
恐る恐る缶ジュースの影に一滴だけ垂らした。
・・・
消えない。
やっぱりこんなのは、イタズラなのだろう。
一瞬でも信じた自分がバカらしくなって液体の蓋を閉じてテーブルに置いた。
そのままベッドに戻り携帯でSNSを閲覧していると、一日中色々考えていたせいか気がつくと眠っていた。
やめろぉーーーっ!!
目を覚ました時は全身汗だくになっていた。
エアコンはタイマー設定になっており爆睡中に切れていたのだろう。
その上、内容は覚えていないが変な夢まで見てしまった。
ふと寝る前のことを思い出す。
缶ジュースのことだ。
テーブルの上を確認した・・・がどこにもない。
まさかとは思いながらテーブルの下も確認したが、落ちていなかった。
消えた?・・・
急に先ほどの汗とは違う汗が出てくる。
眠りについたのは約2時間前。
影にあの液体を垂らして本当に消えるなんて。
俺は内心、恐ろしくもあったが、心からワクワクもした。
この際この液体に名前をつけようと思った。
そこでルールの用紙に記載のあった委員会の名前から「Dead Shadow」と呼ぶことにした。
ただルールが気になる。
ルールの書かれた紙を再度手に取った。
ルール
1・これは、使用者の為に存在する。
2・使用者は、これを影に一滴垂らすことで、そのモノの存在を消すことができる。
3・使用者は、消したモノの存在を忘れない。
4・使用者以外は、消したモノの存在を無かったこととして記憶が書き換えられる。
5・使用者は、死なない。
ルール1はそのままの意味で、俺が自由に使ってもいいと言うことだろう。
ルール2は寝る前に垂らした一滴で缶ジュースが消えたことで証明された。
ルール3もそのままで、俺は未だに缶ジュースのことは忘れていない。
ルール4の使用者以外は、と言うことは、俺以外の人全てのことだろう。
しかし、存在を無かった事にするとはどう言うことなのか。
そして記憶が書き換えられるとは、なんなのか。
これに関しては、まだ分からない事が多すぎる。
ルール5は・・・当然死なないはずだ。
液体を一滴垂らしているだけに過ぎないのだから。
まだ、ルール4のみ実証されていない。
これはどこかで試してみる必要がありそうだ。
と言うよりも、ただ少しワクワクが大きくなってきた。
そこで小学生の頃の同級生をカフェに呼び出した。
俺はカバンにDead Shadowを入れてカフェへ。
おーいっ!ゆーすけーっ!
同級生の佐々木賢史がカフェの前で手をあげてこっちへ声を掛けてきた。
俺は、足早に向かう。
遅くなってごめん・・・
いや、良いよ
賢史は笑顔で応えた。
早速だけど、どうしたんだよ?
とりあえず中に入ろうぜ
カフェに入って賢史はコーヒー、俺はカフェラテを注文した。
支払いは、賢史が全部出してくれた。
結構人多いな。奥の席空いてるからそこにしようか
お、おう・・・
席に着いてDead Shadowの事について話そうと思っていたが、イマイチ切り出すタイミングが見つからない。
呼び出したのは、あのー・・・仕事の事だよ
あーっ!その話か、再就職先まだ見つかってないのか?優介の元職場の上司最悪だったよな。
そうなんだよ、今はアルバイトしてどうにか生活はできてるけどやっぱりしどいかな・・・
それなら俺の知り合いが新人探してんだけど聞いてみようか?
考えとくよ・・・
そうか・・・あっ、また一緒にメシでも行こうぜ
おう
賢史の誘いは嬉しかったが、正直辛かった。
賢史には迷惑ばかりかけてしまっている。
帰り際にカフェラテのコップの影にDead Shadowを一滴落とした。
その足で晩御飯の調達のためコンビニへ向かった。
どれにしようかな
弁当を選んでいると、後ろから聞いたことのある声が聞こえてきた。
幼馴染の二人、井上隆斗と田中香織だ。
一日に何人もの幼馴染と会うなんて久々だった。
よう!優介!元気か?
おう、元気にしてるよ
この二人に会うのは久々だ。
隆斗これ買ってぇ
香織が隆斗の会計中にオレンジジュースを持って行く。
仕方ねーな香織は
あの二人のケータイにお揃いのキーホルダーが付いていた。
優介!これ気付いちゃった?俺と香織付き合ってるんだぜ
前から仲は良かったが付き合っていたとは思いもしなかった。
お・・・そうなんだ
あまりの衝撃に言葉に詰まる。
その後、しばらく小学生時代の頃の思い出を三人で話してから、二人と別れて家に帰った。
家に帰った頃には食欲もなくなっていた。
なんだかココロがモヤモヤする。
そんな時は、いつもベッドでゆっくりと眠ることにしている。
・・・
次の日、賢史にメールで昨日のお礼をした。
すぐにメールは、帰ってきた。
メールの文面は、「気にしないで良いよ。」という内容に加えて、「優介はカフェラテ飲んで無かったじゃないか。奢ってやるって言ったのに遠慮してさ。」と書いてあった。
ルール4が実証されたのだ。