それは、とても簡単なことでした

奴隷について
貴方はどのようなイメージを抱くだろうか。・・・そのイメージは正しいのだろうか

これでよくって?

はい。では原稿は預かりますね
お疲れさまです

僕はわきに餌を抱え、部屋を出ていく。
若い作家を食い物にしていくことに、抵抗が無きなったのはいつからだろうか。

最初は、こんなことが許されるなんて思わなかった。何よりも自分のプライド・・・今の自分を否定するのであった。

町を見渡せば、本を読むのが大好きな民
本の売り上げも都市とは大差ない・・・なんて。若手の作家を呼び込むためのもの。
この町は、そんなにも平和な町ではない・・・

見渡す。
町民は本を読みふける。一人、二人なんて数ではない。全員。町にいる全員が本に憑りつかれたようである。

なんて、何も知らないような体でこの町を観察するとそういう風に見えるかもしれない。
しかし、僕の目からはそんな風には見えない。ああ。貴族様の食糧が、今日も元気に肥えてるなと。脂肪を蓄えるではなく、思考を蓄える。

貴族ってものは何を考えているか分からない・・・人間の思考力を好んで食べるなんて

本当は本が好きだったはずなのに

今では、その本すらも奴らの食糧としか思えない・・・こんなことが許されるわけない。

でも。僕には従うことしかできない。だから、作家がこのことに気がつかないよう。その思考が消費されないように願うことしか・・・僕にはできない

この町の住人は、その貴族と言われる人間からかけ離れた存在の家畜である。

そう、この町は家畜である奴隷と、家畜に餌を提供する消耗品の作家。

所詮は、貴族の食料のための町の話。
簡単な話でしょう?




本と。奴隷と。

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