ミロク

はぁ……

レミ

どうしたの?
溜息なんてついて

ミロク

ああ……ちょっとね……

ミロク

転生してきた生意気男子に悩まされているなんて言えないなあ……

彼がこちらへきて数日。
私は、何故か居候として棲みついてしまった彼との同居生活を続けていた

けれど、その生活は決して円滑なものではなかった

ミロク

今朝だって……

ミロク

zZZ

シュウヤ

……ん……お姉さん……

ミロク

わっ

シュウヤ

朝ですよ? 学校行かなくて大丈夫なんです?

ミロク

うそっ、もうそんな時間!?

シュウヤ

いや、まあ、まだ六時前なんですけどね

ミロク

はぁ!?

シュウヤ

いやぁ……僕、お腹空いたなあと思いまして

ミロク

そんなことで起こさないでよ……

シュウヤ

早起きは三文の徳って奴ですよ

ミロク

何それ……

シュウヤ

早起きすると何かいいことが起きるかもしれないってことです

シュウヤ

まあ僕はそういうことわざとか迷信とか信じていませんけど

ミロク

なんなのよそれ……

シュウヤ

まあまあ

シュウヤ

それで、僕はお腹が空きました

シュウヤ

今日はフレンチトーストが食べたいような気分です

ミロク

ワガママ言わないの!

ミロク

まあ、それくらいなら作るけど

シュウヤ

わー、ありがとうございまーす

ミロク

なんで棒読みなの……

ミロク

なんてことがあったりして……

やっかいなやつを呼び寄せちゃったなあ……

レミ

そんなに彼氏がほしいなら合コンでも参加したらどう?

ミロク

な、なんで突然彼氏の話なの!?

レミ

ミロクが悩むとしたら、彼氏がいない問題くらいしかないかなあ、と

ミロク

私、どんなキャラだと思われているの……

???

あ、ミロク! レミ!

レミ

あ、あれは……

リリコ

やっほ~

レミ

出た、ポンコツリリコ

リリコ

もう!ポンコツなんて酷いなあ!

ミロク

この前の魔法の再試も落ちたんだって……?

リリコ

それはたまたま……運が悪くて

ミロク

運とかそういう問題じゃないでしょ

レミ

私がせっかく補習に付き合ってあげたのに……あんたって子は

リリコ

そ、それは申し訳ないと思っているよ……

レミ

あれがなければ、私は彼氏とデートができたのに

リリコ

わ、私もルインくんとのデートお預け食らってるもん

レミ

それは自業自得

リリコ

むぅ……

ミロク

…………

この子たち……

二人とも、彼氏持ちかあ……っ

ミロク

はぁ……

レミ

おっと、ミロクの前で彼氏の話は禁句だったっけ

ミロク

変な気は使わなくていいから

リリコ

ミロクって魔法もできるし勉強もそこそこだし、そこそこ可愛いのに、なんで彼氏ができないんだろうねえ

ミロク

ほんと、そうだよねえ!

レミ

……そうやって自分で肯定しちゃうとこがだめなんだと思うよ

ミロク

ええっ

???

あ、レミ~

ライト

どうしたんだい? こんなところで

レミ

ライト!

ミロク

ライト……レミの彼氏……

家が富豪で将来が約束されていて、容姿も整った生徒会長。多くの女子の憧れの元……

ミロク

そんな人を捕まえられるとか……どんな魔法をつかったのやら……

レミ

何でもないよー。ただの女子トーク

ライト

へえ……まあ、仲がいいのはいいことだ

ライト

けど、付き合う友達は考えた方がいい

レミ

え?

ライト

そこの女子生徒は未だに魔法のテストが受からない落ちこぼれだろう?

ライト

そのような子と付き合っていれば君の成績が落ちてしまう

レミ

ちょ……ら、ライト

ライト

ふふ、冗談だよ

ライト

ただ、次の彼女のテスト試験官は僕だ

ライト

是非とも、恥ずかしくない結果を見せてくれたまえ

ライト

では、失礼するよ

ミロク

……なんなのあの態度

レミ

…………

レミ

やっぱライトは言うことが違うなあ

ミロク

え?

レミ

人が言いにくいことをズバっと言っちゃうとこが素敵~

リリコ

そうだねえ

ミロク

リリコも!?

リリコ

あんな風に言われたら頑張らなきゃって思ってきた

リリコ

早速練習だあ

ミロク

……モチベーションが上がってる……!?

レミ

私も練習手伝おう~っと

ミロク

あんなに嫌がっていたのに!

ミロク

もう、よく分からないよ……

???

心配だなあ

ミロク

あ……あなたは……

ルイン

生徒会長さんの試験はいつも厳しいって有名だ

ルイン

何事もなければいいんだけど

彼はルイン……リリコの彼氏だ

ミロク

何事もって……

ルイン

下手したら校舎が一つ飛んでしまうこともありえる

ミロク

ええっ

ルイン

うちのポンコツはやりかねないからねえ

ルイン

ま、そんなとこが可愛いんだけど

ミロク

突然のろけないで

彼女のことを溺愛するゆるふわ系男子。
彼もまた、多くの女子の憧れの的になっているのは間違いがない。

ルイン

…………ミロクさん、何か悩みでもあるの?

ミロク

え? なんで?

ルイン

なんか……深刻そうな顔しているような気がしたから

ミロク

そ、そんなことないわよ

ルイン

ふうん……

ルイン

じゃあ、僕もリリコの練習見てくるね

ミロク

はーい

ミロク

私は……どうしようかなあ

シュウヤ

…………

ミロク

…………

シュウヤ

寂しい人ですね

ミロク

……ど、どうしてここに!?

シュウヤ

暇だったので

ミロク

暇って……そんな理由で学校に来られても……

シュウヤ

案外異世界っていうのも退屈なんですね

ミロク

そんなこと言われても

シュウヤ

何か面白い事でも起きないかなー

ミロク

そんな簡単に……

ミロク

わっ……な、何……!?

シュウヤ

…………?

つづく

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