シュウヤ

ふむ……

シュウヤ

なかなか、美味しいじゃないですか

ミロク

そう……よかった……

ミロク

って、なんでそんな上から目線なのよ!

シュウヤ

いえ……なんとなく

ミロク

まったく……

シュウヤ

少なくとも、僕の親の料理よりかは美味しいと思いますよ

ミロク

親……

ミロク

そうだ……あなたが帰らなければあなたのご両親が心配するんじゃ……

シュウヤ

それは……ないですね

ミロク

え……何故?

シュウヤ

僕、もうあっちの世界では死んでるんで

ミロク

なっ

シュウヤ

転生ってそういうもんでしょう……死んで、生まれ変わるんです

シュウヤ

何故か、そのままの年齢のままこっちの世界に来てしまったんですけど

ミロク

そう……

向こうの世界ではもう死んでいる……

しかも、この年齢で……

ミロク

何か、聞いてはいけない事情がありそうね

シュウヤ

ま、自殺したんですけどね

ミロク

なっ

シュウヤ

……冗談です

シュウヤ

自殺できるんなら自殺したかったですけどね

ミロク

それって……どういうこと?

シュウヤ

さぁ……適当に解釈してください

そんなこと言われても……全然分からないんだけど

ミロク

はぁ……

シュウヤ

で、僕はどこで寝ればいいですかね

ミロク

え……?

シュウヤ

勿論、住まわしてくれるんですよね、お姉さん

ミロク

そんな、突然……

シュウヤ

僕を呼び寄せておいて、見捨てるんですか?

ミロク

それは……

ミロク

ていうか……なんかあなた、自分の意思でここへ来たみたいだけど

シュウヤ

ギクリ

ミロク

い、今、ギクリって言った!?

シュウヤ

まあ、あれです

シュウヤ

転生して第二の人生を味わいたいなーと思っていたのは事実ですが

シュウヤ

そう思っていた僕の魂を呼び寄せたのは、紛れもなくお姉さんなんですよ

ミロク

な、なるほど……

私が転生魔法を使わなかったら、彼がここに転生することもなかったわけで……

ミロク

結局、私の所為か……

シュウヤ

で、本題に戻りましょう

シュウヤ

僕はどこで眠ればいいですかね

ミロク

ええっと……私のでよければそこのベッド使って

シュウヤ

お姉さんは……馬鹿ですか?

ミロク

なっ

シュウヤ

それなら、お姉さんはどこで寝るっていうんです?

ミロク

それは……

シュウヤ

後先考えない発言は控えてください

ミロク

はい……

ミロク

って、どうしてそんな上から目線なの!?

シュウヤ

とりあえず、僕はそこのソファーでも使わせてもらうんで

シュウヤ

家主はちゃんとベッドで寝てください

ミロク

案外そこは謙虚なのね

シュウヤ

そうです、謙虚です

シュウヤ

お姉さんは僕を見習うべきです

ミロク

それは……まるで私が謙虚じゃないみたいな言い方よね!?

シュウヤ

事実です

シュウヤ

お友達に「自分は超優良物件だ」とかいう人が謙虚なわけがない

ミロク

それは……事実だと思っているし

シュウヤ

はぁ……

シュウヤ

残念な人

ミロク

うるさい!

シュウヤ

まあ、これからお世話になるんで

シュウヤ

よろしくおねがいしまーす

ミロク

何故棒読み……

こうして、私と彼の奇妙な同居生活は幕を開けた

でも、同居するならもっと……彼氏候補のカッコいい男の子のほうが良かったのになあ

ミロク

年上で、気配り上手な優しい男子にどうしたら巡り合えるんだろう……

ああ……モテたい!!!

シュウヤ

残念な人

ミロク

それなのに、どうしてこんなことに……

私の受難は……まだ、はじまったばかりだ

ここは……どこ……?

真っ暗で、何も見えない

???

気づいたか、少年よ

誰……?

???

私は、神だ

神?
また……ふざけたことを……

???

……お前は、随分と冷めているな

別に、通常運転ですよ

???

……ところでお前は、生前に転生を望んだな

生前……?
ああ僕、死んだんだ

まあ、望みましたけど

???

今、転生枠が一つ空いている。

へえ……ありがとうございます

???

まて、まだ私は何も言っていないぞ

いやいや、御冗談を。
つまり、僕を転生させてくださるってことでしょう?

嬉しい限りです。

???

それにしては、随分と冷めているな

生まれつき、ですから

???

……まあ良い。
お前は、転生に関して何か望みはあるか?

望み?

???

富が欲しい。力が欲しい。美貌が欲しい……

???

人間は皆、何かを欲するものだ

へえ……

別に、何もいりませんけど。

???

一体……何故?

僕みたいな最低な人間に力を与えようなんて……そんなの馬鹿がすることですから

???

…………

ただ、まあ。一つだけ

???

……なんだ?

できれば、今とは違う世界に行きたいです。
魔法の世界でも未来の世界でも何でもいいんで

???

分かった……お前の望みを叶えてやろう

ありがとうございます

つづく

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