千狸

………む?

はあああああぁぁぁぁ!!

千狸

……ぬんっ

あああああああぁぁぁぁぁっ!!

千狸

………ちぃっ

千狸

ちっ……変化が解けたか

はあっ……はぁっ……!!

千狸

其方は……鬼ではないか。何故儂に刀を向ける。覚殿の手の者か?

覚って誰だ……! 僕は、貴様が殿を殺そうとしたから追いかけてきただけだ………!!

千狸

殿とは……松尾弾正のことか? 我らの討つべき敵を、殿と呼んで慕っているとは………なんと気色の悪い

千狸

鬼の誇りすら捨てて人間に首を垂れる、哀れな小鬼よ……災禍様が聞いたら卒倒するやもしれぬ

千狸

貴様は我らの害悪になりかねぬ……生きる意味のない羽虫は、儂が潰すとしよう

貴様らに生きる意味など決められたくはない!!

………っ!?

千狸

勇ましいのは良し。だが、所詮は他の鬼と変わらぬ一辺倒の力技。それで敵を取ろうなどとは笑わせる

千狸

どうした? 驚いていては勝てぬぞ?

っ……なんて鋭い。やはり鬼とは攻め方が違う

千狸

遅いな

なっ………!?

ぐあああああっ……!!

千狸

ふんっ

がはっ……!! はあっ……はあっ……!!

千狸

……ふむ、もう立てんか

…………

千狸

さらばだ、無価値な小鬼よ。せめて一太刀で仕留めてやろう

殿……どうか力をお貸しください

…………っ!!

千狸

刀の腹で、我が短刀を捌くとは……見事

おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉっ!!

千狸

…………見事なり

はあっ……はあっ……くっ!

いや……まだ動く。この狸はあくまで刺客だ。なら、指示した者が必ずいるはず

その者も倒さないと…………

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