目覚ましの音が部屋に響く。
目覚ましの音が部屋に響く。
…………
俺はタオルケットをどかし、窓の外を見やった。
岸ノ巻は今日も快晴だ。
ドアをノックする音がした。
といっても、もう毎朝だから馴れてしまったが。
開いてますよ、露樹さん
首だけ動かし、声を張り上げる。
予想通り、そこには隣人がスーパーの袋を引っ提げて立っていた。
本人は照れくさそうに笑っている。
おはよう。今日もよろしくね~
俺は思い切りため息をついた。
朝食ぐらい食パンで済ませられないんですか
10分後、俺は露樹さんと向かい合って自分が作った朝食を食べていた。
味気ないもん。高校3年間ずっと朝食べてたら飽きるって
高校卒業してからはどうしてたんですか
起きたら大学の途中にある弁当屋で二つ買ってた
待ってください。それを3、4ヶ月ずっと続けてたんですか
そうだよ。高校の頃から燕ノ巣でバイトしてたし
燕ノ巣のバイト代ってどんだけ高いんだろうか。
ま、夏休みはどうしようか考えてなかったんだけどね。特にサークルにも入ってないし、大学行く用事無いしさぁ
夏期講習とか無いんですか
日数満たしてる奴らは別にいいんだってさ
しかし、普通の大学ってサークルは絶対参加じゃないのか。
夏期講習がない物なのだろうか。
まぁ、運よく料理できる子が引っ越してきてくれたおかげで助かったわ
そろそろ露樹さんも料理覚えましょうよ
いいじゃん、材料代は私が出してるんだし
朝っぱらから高校の後輩を使う時点で情けないと思ってください!
そうカリカリするな若者よ♪ あ、味噌汁お代わり~
ったくもう……
あはは~と笑う隣人を見て何も言葉が出なかったのは言うまでもない。