ぎゃははは!

な、何やってんだよこいつら!
わけ分かんねぇな、人間って奴は!!

お声が大きいです、女王様

あー……ワラった

これが嗤わずにいられるかよ

お気持ちは分かりますが落ち着いてください

あぁん? 機械風情が感情の何を知ってるって?

……この表情でこの言葉を口にすれば日本語での会話はスムーズに進みやすいというデータがありましたが現実あるいは女王様には即していないようです

ところで、今はまたこの前のように出来事のまとめと推理をするのでしょうか?

まあ、そうなるかな。

なんせ、今のままだとあの狂人が強硬手段で物事を解決しかねない

狂人……アダムスキー・アバルキンの事でしょうか

強硬手段、とは?

全部燃やしちまう、とかな?

……いろいろ申し上げたいことはありますが、本題に入りましょうか

そうだな

そういえば、前回? 前々回? に女王様の仰っていた疑問が解消されましたね

ん?
ああ、「小屋を勝手に使えたのは何故か」って奴か

正直忘れてたぜ

――DAY 2――

「親切な目撃者」

樹海の入り口に小さなボロ小屋があるの

え、でも、それ、使っていいんでしょうか……

いいのよ、大丈夫!

――DAY 4――

「青髪の男」

お前ずっと酒は控えてたじゃねぇか

……うるせぇな。もう口やかましいかみさんは天国か地獄だよ

――DAY 4――

「膨れる噂」

もしかしてここに父が来てません?

お母さんの遺言を何だと思ってるのかしら、駄目親父

いつも父娘でこんなに顔が違うのかと思うが、性格はハッキリしてるところが似てるんだよな……

――DAY 5――

「私怨」

……お前、なに勝手に俺の小屋から道具を取り出してる? 俺は、お前に使う許可なんざ出してないぞ

イリヤには出したんだろ?
ああ、正確にはお前の娘から頼まれたってとこか

……とまあ、回想がクソ長くなったが、

森小屋はヤロスラフの所有物


ファイーナはヤロスラフの娘であるため

先にイリヤに貸し出す約束をし

後で父親に許可を取った

ってことが分かるわけだ

薪は「無料」ではなく「厚意」だったのですね

そういえば、ファイーナ、だったか。ただただ台詞でスペースを食うだけの女だと思ってたが……

ここ数話、台詞も素が出て小さいうえに、主人公を食いかねない重要度になってきたじゃないか?

重要?
解説させるための要員として配置されただけに見えますが

本当につまらんな、お前は

あの女が出てくるたびに山ほどフラグが積みあがったじゃないか
死亡フラグにバッドエンドフラグ、最高に美味いぜ

ふらぐ……スラングですか?

………………

と、とにかく!
3日目から始めよう

「樹海と邂逅」からなら、厳密には2日目夜からでは?

なぜ描写されたのか不思議なくらい、寝ただけだっただろ

……

あ、考察ごっこに興味のない奴はこの後は見なくていいぜ。
ただし、今回は神話知識のない人には知らないときついちょっと重要な話もしてるからな。説明不足で解決編に向かう可能性がマジで高いから、思うところがあればズバズバコメントしろよ

――DAY 3――

この朝イリヤは朝食は要らないと書き置きを残し、早朝、自己申告では5~6時から、例の森小屋に行った

せっかく地図がありましたし、見てみましょうか

……まあ、多少の道があったからそこを見張ってた、ってことだな

ただ、後で示されることですが、森小屋の窓から見えないように樹海に入ることはできるようですね

しかも吹雪なので足跡すら分かりません

少し時間が進んで、アダムスキーが樹海に入り込む。
ここはちょっとだけややこしいことになってるな。時計、まとめろ

はい

イリヤとアダムスキーの話によると……

①イリヤが窓際の机で寝ます

②アダムスキーがやってきて、森小屋の前の道を通ります

この際、イリヤは机にぴったりと伏せて寝ていたのでアダムスキーからイリヤは見えなかったらしいです

アダムスキーがしばらく進んだところで……

③イリヤが目を覚ましてすぐに、森小屋前の道を樹海に向かっていくリーリヤを目撃

すぐに追いかけますが、見失います

……おーい! リーリヤ!!

④リーリヤを呼ぶイリヤの声を聞きつけたアダムスキーが樹海入り口に引き返します

……こんなところで何してるんだ?

リーリヤがここを通ったんです!

合流。

このような流れです

Not bad.

しかし、珍妙なことを言ったもんだな

僕には、良い人に思えるんです、アダムスキーさんは

お蔭で動揺したアダムスキーが初めて見れた

彼も生まれてこの方動揺したことがない、というわけではないのですけれどもね

ふん。
で、イリヤは樹海に留まりアダムスキーは去った。帰り際に森小屋を調べていたようだな

時間は飛んで、午後です。
ファイーナがセミョーンに会います。
どうやら、ここ20日ほど会っていなかったようでした

……

女王様?

惚気話はしたくない。お前一人でやれ

女王様…………

ええと、では。
ファイーナは飼い犬が死んだので埋葬してほしいと用件を持ち込みます。
セミョーンは何でも屋をしてる、なんて言ってましたね

本文でも述べられていましたが、永久凍土は固いので、溶かして掘り起こすのに時間がかかります

適当な呪文でも使えば早く掘り起こせるでしょうが

ついでに、リーリヤを見たときのことを情報共有

その後、ファイーナ宅で20日前のことが少しわかります

……面倒だから、「あの情報」と照らし合わせて話しちまったらどうだ?

あの情報?

「何故か」内容が9割がた明らかになった、リーリヤの手記だよ

忘れた読者は居ないと思うが、念のため言うと「気づいて。」と「わすれて。」の二話の内容だな

……では、僕なりにまとめます

ああ、ついでに3年前のことも面倒だ、混ぜちまえ。3年前~20日前~DAY 0まで、ここ最近の話で分かったことをまとめるぞ

……先ほど拗ねてらした割には、やる気ですね

あ?

何でもございませんよ

――3年前

さてさて、3年前のことは「3年前」あたりで簡単に語られてるだけだが……

3年前、まだこの町にノフ=ケー、つまり『かみさま』がいたころ……この町の人々はかなり強く崇拝していたようです

数十年おきに生贄を捧げていたというのは既出情報ですが、本当に人間が捧げられていたようですね

そうそう、本題からは逸れるが、あの回想シーンで地味に意外な情報があったな

セミョーンとアダムスキーは一緒に来て、宿を取っていた。
どうやらあいつ等、3年前は仲良かったらしいぜ?

サスリカに来ちまったせいで袂を分かつことになったってわけだ

……なるほど

で、儀式……生贄を近いうちに捧げるなんて話を聞いちまったアダムスキーが、セミョーンと口論の末、勝手にノフ=ケーを殺し祭壇を壊す

言い争っていたところからして、セミョーンは風習のことを知っていながら、手を出さないでおこうとしていたようですね

止めようとしてたが、アダムスキーが一歩上手だったみたいだな?

そして、町の空き家でなぜか死んでいた青年、アルセニーですが……はっきりしたことがよく分かっていません

魔法陣の近くに倒れていたこと、死因から、魔術的なものによる死であることは確実ですが……

町に結界を張る魔術を止めようとした、とヤロスラフは言っていました。それでも……

「魔術の知識はどうやって得たのか」



「どうやって魔術を止めたのか」



「魔術のどんな影響で死んだのか」



「ヤロスラフに語ったのは何故か」

「自らの意志で死んだのなら、

アダムスキーはともかく

なぜ町人を恨むのか」

分からないことは実は多いのです

ん。最後の疑問についてはあとでまた触れるか

いずれにせよ、この事件をきっかけにアダムスキーは町人から憎まれて去り、逆に信頼を得たセミョーンは頻繁に町に来ることになる

宿屋の1号室占領してるくらいだしな

そして、『かみさま』を失ったことで深く傷ついていたファイーナに「裏」の事を教えて立ち直らせ、以後頼もしい協力者になっていますね

まあ、『かみさま』を受け入れていた時点で、そこまで奇想天外な話ではなかっただろうな。イリヤの適応力の方が馬鹿みたいな高さだからな

そして、それからずっと、サスリカは神話生物のいない……いわば「空き地」でした

セミョーンも言っていたな。
他の神話生物が介入しやすい、便利な場所

ここからは少しイリヤが妹、
リーリヤの話だ

といっても、たった2話にまとまってるから、本当に簡単な事しか言わないぞ?

――Ⅹヶ月前~半月前

さて、数か月前、リーリヤは見知らぬ街で見知らぬ男性を助け、その際に一つの呪文を知ってしまいます

[POSE MUNDANE]

この呪文は、「平凡な見せかけ」とも、「仮面」とも、また他の名でも呼ばれる

Magic Point……精神力みたいなものだな、それを少し犠牲にすることで、生物や非生物の見かけを変えることができる

ただし、見せかけた人や物を「見慣れている」人にとっては、強烈な違和感が生じる

生物に対してかける場合は頻繁にMPを与えなければなりませんが、非生物に対しては一度かけるだけで効果が継続します

ふーん。
おい、「術者が死んでも」効果は永続するのか?

リーリヤは「あの男」から絶賛されるほどの素質を持っていたようですから、その可能性はありますね

「あの男」ね、くっくっく

ま、あの男の正体とか、野暮なことは言うまい

さて、約1か月前にその魔術を使って紙をお金に見せかけてしまった彼女ですが、その半月後、とある教団に知られてしまいます

セミョーンが言っていたな。
『かみさま』同様、ノフ=ケーに関する教団だと

優れた術者が欲しかったのでしょうね

――20日前~

そしてリーリヤは、逆らわずにサスリカへ行った。
兄にだけ、なんでもないように振舞ってな

しかし、サスリカでは、リーリヤと待ち合わせるために来ていた魔術師が、セミョーンに見つかり、追い出されていました

その後すぐに、セミョーンは魔術師の属する教団について調べるためサスリカを発った。
リーリヤを知らなかったところを見ると、彼女が来る直前だったんだろうな

サスリカで教団から接触されないことにリーリヤが驚く描写がありましたね

肩透かしを食らった気分だろうな

ところが、セミョーンがサスリカを去った後から、奇妙な失踪事件が起き始めた

一度は捨てた命とでも思ったのか?
リーリヤはかなり危険な調査をしていたな

失踪者になりすまして歩き回るなんて、犯人を煽っているようにしか思えませんね

しかし努力むなしく、犯人からは反応なし

……と日記には書かれているが、彼女自身が失踪したんだから、十分警戒されてはいたようだな?

……そうですね。
冷静に出回っている失踪者目撃の噂を見極め、リーリヤがしたことだと気づいて対応する……冷静ですね

果たして本当に冷静だったのかな?

……と言いますと?

例えば、犯人は町人の中にいる。
あるいは、町人に「成りすまして」いる

さっぱり失踪者が現れたのに理解は及ばないが、とりあえず来たばかりで警戒心も薄い、そのくせ邪魔っこく聞き込みしたりしている小娘をさらってみた。
結果、噂が消えた

……その解釈だと、だいぶ行き当たりばったりな犯人ですね

まあ、真相はまだ闇の先だがな

しかし、敗れた手記の先が地味に気になるな。本筋とは関係ないはずなのに、ひどく引っかかる

……ひとつ、心当たりはありますが

ん?

秘密です。
自分で考えてください

後で竜頭(りゅうず)の隙間に塩水流し込んでやる……

あ、そうそう、日記が今どこにあるのかも気になりますね

さて、時間を戻すわけなんだが……

…………長すぎる

はい?

ここまでの話が長すぎて紅茶が冷めた!!
これではチェリーパイも楽しめん、淹れ直してこい!!!

……ここで中断なさるのですか?

「紅茶が冷めたんだから」仕方ないだろ?

………‥淹れ直してきます

ふう。

どうだ?
お前らの目を休める時間を作ったぞ、感謝しろよ

ああ、あと、聞きたいことがあれば聞けよ?

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