突然だが…怪盗アルセーヌ・ルパンをご存じだろうか?俺はご存じだ。
彼はウルトラスーパースペシャルかっこいい偉人として、俺の中にインプットされている。幼い頃は何度もシリーズを読み返して、そのスタイリッシュで格好良い犯行に酔いしれたものだ。
まあ、そんなかっこいい彼の影響もあり、俺はこんなことにまで手を染めることになったのだが……
突然だが…怪盗アルセーヌ・ルパンをご存じだろうか?俺はご存じだ。
彼はウルトラスーパースペシャルかっこいい偉人として、俺の中にインプットされている。幼い頃は何度もシリーズを読み返して、そのスタイリッシュで格好良い犯行に酔いしれたものだ。
まあ、そんなかっこいい彼の影響もあり、俺はこんなことにまで手を染めることになったのだが……
おっと、長話をしている余裕はないようだ。とりあえずここを抜けなきゃ…しっかり話もできないね。それじゃ、ちょっと本気出して来るよ…Salut、また後でね♪
怪盗キャラメリゼ、ただいま参上!予告通り、『月夜の女神』は、戴いていくよ!!
第1幕
怪盗キャラメリゼ、参上!
ま、ざっとこんなもんだね
俺は先ほど手に入れた夜色のダイヤが付いた指輪を手の中で転がした。
今宵の獲物は、美しい夜色の石ーーブルームーンダイヤモンドがあしらわれた指輪『月夜の女神』。月の女神アルテミスの涙から出来たという伝説を持つこの指輪は、市場価値も非常に高い。今まで通り闇市に売り飛ばせば、恐らく暫くは遊んで暮らせる。が、今はそんな野暮なことはしない。愛する人が出来てからというもの、彼女の興味を示すものを調べていくうちに、その価値に気付かされることが多くなった。それ以来コレクター精神が目覚めてしまい、なかなか手放すことが出来ないでいる。
足がつくのも、時間の問題かなぁ…
随分弱気だね、怪盗さん?
まあ、盗品をいくつも自分のそばにキープしてればそりゃ…
っ!?
一瞬普通に答えてしまったが、待て。
俺が振り向くと、そこには金の髪を一つに結った男がいた。さっき確認した時は誰もいなかったはず……いつからそこに…?
おやおや、驚かせてしまってごめんよ、怪盗……いや、もう遊びの時間は終わったんだよね?
サヴァラン=ブリュレ君?
な…!?
名前を呼ばれ、背筋が凍る…なぜ知っている?俺の…怪盗キャラメリゼの正体を…!?
だが、それを態度に出してはいけない…まだハッタリの可能性だってある…そうだ…きっとそうだそうに違いない…!
ハッタリにも程があるよ、ジェントル?私はそんな名前ではないし、それに…
初めての犯行で盗んだものはF美術館の『ソーサラーリング』
………
その後暫くは盗品を闇市に流していましたが…現在は、自分の家であり、キャンディショップの『Sweetear』の自分の部屋のベッドの下にココ最近の盗品がすべてーー
ストップ
ダメだこいつ…ハッタリじゃないようだ…
おやおや、怖くなってしまいましたか?無理もないですね。あなたはその顔以外は普通の子どもなのですから…
怖くはないね。覚悟はしてたし
嘘。めっちゃ怖い。なにこいつストーカー?ってくらいには怖い。
おや、お強いこと…では、この『お仕事』も安心して任せられそうですね
お仕事?
こいつの目的は告発ではないのか…?
ええ、お仕事です。あなたの、その怪盗の腕を見込んでの…どうでしょう?
どうでしょうって……
気持ち前傾姿勢で聞いてくる男は、期待に目を輝かせている。まるで『逃がしはしない』とでも言うように…実際に、俺はその不気味な眼光から逃れられないでいた。脳が言うことを聞かないというか、体だけ乗っ取られているかのような…そんな、得体の知れない何か……
おっと、そうでした。どんな仕事か聞かないことには、あなたも決断が出来ませんよね?いやはや、僕としたことが…
俺を縛っていた不気味な雰囲気がフッと消え、男は頭を掻きながら微笑した。その隙に、俺は後ろへ飛び男から距離をとる…
ものすごく警戒されてますね
私の勘がね、あなたはまずいものだと訴えてるんだ。それから距離をとるのは当然だろう?
そうですか。それはなかなか心が痛むというか…残念です。
ですが、逃げようとしないあたり、話は聞いて下さると受け取っても?
話ならね
それは有難いですね!では早速……
あなたに、その類希なる能力を駆使して、僕の家の遺産を取り戻してほしいのです
やだ
思わず素が出た。なんだそのくそ面倒くさそうな…
何故です!?怪盗とはそういうものではないのですか!?
あなたは何か勘違いをしていないか?あなたが言った通り、私は今まで盗品を闇市に流したり、コレクトしながら犯行を重ねてきた
つまり、これらの犯行は全てわたしの私利私欲を満たすため…誰それに依頼されたとか、そんな大層な理由はないのさ
まさか…でも、確かに神のお告げには…
男は納得いかないのか、暫くその場でブツブツと何事化を呟いていた。よーし、逃げるなら今だ。怪盗に夢を見ていた彼には申し訳ないが、ただの強盗犯に成り代わった俺はさっさと暖かいオフトゥンに…
まだその時期ではないのでしょうか…怪盗キャラメリゼ、もしかして怒っているのですか?先ほどの非礼はーー
怒っちゃないよ!ぜんっぜん!!ただ面倒なだけ!!
ここまで強い拒絶を提示すれば、彼もきっと気持ちよく諦めてくれるだろう。俺は確信し、懐からフックショットを取り出した。
もう行ってしまうのですか?
ああ。話は終わっただろう?
ええ、そうですが…
腑に落ちない顔をしている男を尻目に、フックショットを頭上に放つ。
金属部分が引っかかる小気味いい音がし、ワイヤーの巻きとりを開始したーー
怪盗キャラメリゼ!僕は諦めませんよ!!神は確かに仰せられたのだ!!僕の名はファウスト=ゲーテ!!よく覚えておいてください!!
空中で一度回転し勢いを殺す…飛び移った屋根から下方を見下ろすと、その男…ファウストの姿はもう無かったーー。
何だったんだ、あいつ…
怪盗キャラメリゼェェェェェ!!見つけたぞぉぉぉぉ!!!
シュトーレン刑事!?まだ振り切れてなかったのか!!
待ちやがれぇぇぇぇぇ!!!!
その後鬼ごっこは明け方まで続き、俺はほぼオール状態で次の日を迎えたのであったーー。
新連載投稿おめでとうございます(^^)怪盗が主人公というだけでワクワクするのに、キャラメリゼの言動が良すぎて更に物語が面白く読めました♪…『オフトゥン』発言には吹きました(笑)
これからの更新を楽しみにしてます!!
コメントありがとうございます!!
『オフトゥン』発言は、サヴァランのキャラ的にどうなのかとコンマ6秒くらい考えたのですが、「まあ何とかなるだろう」と思いそのまま書きましたw
楽しんでいただけて幸いです!これからのサヴァランの活躍にご期待ください!!
いょっ!!待ってました!!
颯爽と現れるるサヴァラン!
謎の人物!ゲーテ!!
そして永遠の愛敵であろうシュトーレン刑事!!!
これからが楽しみでなりません!!\( 'ω')/