――2月20日、金曜日。

 この日は登校したものの、睡魔に勝てず、殆ど寝てた。龍太郎も同じみたいだったし、正木先生の授業も自習だった。

「俺は眠いから寝る!」
と正直に発言していたらしい。


 昼休憩の時、アゲハに事情を話した。凄く心配していたので「自分達に何が出来るか考えよう」って自分自身に言うように話した。

龍太郎

ふぁ~あ、まだ眠たいよ。

真悠

龍太郎はあれから
ずっと探してたんだよね。

龍太郎

叔父さんに
捕まるまで探してた。
無理するなって叱られたよ。

アゲハ

二人共大丈夫?

龍太郎

大丈夫だって、
一日二日寝なくったって。

アゲハ

無理しちゃ駄目だよ。

真悠

正木先生は
「るりの事は任せろ!」
って、言ってたけど……

龍太郎

「おめぇらは、
明日から普通に学校行け!
余計な事すんじゃねぇぞ!」

真悠

って、釘も刺されちゃったし。

龍太郎

多分、叔父さんのあの感じじゃ
これ以上僕達が探し回ったら、
絶対、止めに入るよ。

 昨日の感じからすれば、只の家出や引き籠りとは思えない。何か……、不気味な何かを感じる。







 この日の授業はあっという間に過ぎていった。

 帰りの廊下でアゲハに気になる事を言われた。

アゲハ

先生寝るから自習って
言ってたけど、職員室に
居なかったんだって。

 他の先生から偶然に聞いたみたい。どこで何してたんだろ? 

 私の想像では、るりを探してたんだと思う。アゲハはちょっと怪しんでるけど、るりの件に関して他に原因があるはず。

真悠

あ!?

アゲハ

真悠、どうしたの?

真悠

箱だよ、箱。

アゲハ

え!? 箱??

真悠

誕生日に貰ったあの箱。
あれやっぱり
怪しいんじゃないかな?

アゲハ

あれは只のアンティークでしょ。

真悠

ここ最近で何か怪しいって
言われたら、あれだよ。
だって、誰が入れたかも
今だに分かってないんだよ。

アゲハ

私、先生が入れたと
思ってたけど……。
そんな事も言ってたしね。

真悠

兎に角ちょっと
図書室行ってくる。

アゲハ

真悠。
私にも手伝わせて。

 アゲハは手伝ってくれた。見当違いのものを探しているかもしれないのに……。ちょっとうるっときたけど泣いてる場合じゃない。今はどんな情報でもいいから、あの箱について探してみよう。

 箱にまつわる本。もしくはあの見た事もない文字。両方について調べたけど何の手掛かりもなかった。よく本を知る先生にも聞いてみた。しかし記憶にないらしい。





 それからも私達は下校時間になるまで探した。しかし何もそれらしい情報はなかった。

 帰宅すると、机の上にあの箱がある。目の前にするとやはり綺麗だ。正木先生が開けようとしていたけど、やっぱり開けれない。

 やっぱりこの鍵穴。鍵穴が本命かな。でも鍵なんて一緒に入ってなかったし……どうすれば……

真悠

あ!!

 部屋で一人、ついつい大声を上げてしまった。そうだ、龍太郎だ。龍太郎が昨日、るりの部屋を開けていた技術・ピッキング。それでこの箱が開けれるんじゃないかな。

 私は直ぐに龍太郎に連絡して、明日の朝、来てもらう事にした。

 次の日へ続く 

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