――2月21日、土曜日。

 昨日龍太郎に連絡した後、アゲハから連絡があって、三人で箱について調べる事になった。

龍太郎

自慢じゃないけど、
今迄開けられなかった
鍵はないよ。

 さらっと龍太郎が凄いこと言ってる。ピッキングに使う道具を広げる龍太郎は少し楽しそうだ。

龍太郎

それじゃあ、始めるよ。

アゲハ

カッコいいとこ見せてよ。

真悠

龍太郎、期待してるよ。

 龍太郎が挑戦してる間、私とアゲハはインターネットで何か分からないか検索する事になった。

真悠

全然それらしいこと
出てこないね。

アゲハ

やっぱり関係ないんじゃない?

真悠

う~ん、
その可能性は
高いかも。

アゲハ

私は家出する人とか
引き籠る人の心理状態とかを
検索してみようかな。

真悠

それの方が現実的だね。
じゃあ、
アゲハはそっちお願い。
私はやっぱり箱について
調べてみるわ。

アゲハ

真悠も頑張るねぇ~。

真悠

あの箱が何なのかは
何も分かってないからね。

 『開かない箱』で検索してみる。
鍵を開ける業者、マジック、カラクリ箱、中にはweb小説も検索に上がった。
 ついつい脱線してそのweb小説を読み進めてしまう。もしかしたら、と思ったが、内容は全然関係なかった。

龍太郎

う~ん、開かない。
こんな複雑な鍵、
初めて見たよ。

アゲハ

龍太郎最初の元気は
どうしちゃったのよ。
開けられなかった鍵は
ないんでしょ。

龍太郎

本当だよ。
う~ん、お昼食べてから
もう一回挑戦しよう。

 お昼を済ませてから、龍太郎は鍵開けを再開し始めた。

龍太郎

あれ!?

アゲハ

どうしたの?

真悠

もしかして今の音!

アゲハ

開いたの?
すごぉ~い龍太郎。
泥棒にでもなれるんじゃない?

龍太郎

ち、違うんだ。

アゲハ

分かってるよ、
泥棒は冗談だよ。

龍太郎

いや、その、
開いたんじゃなくて
閉まったんだ。
今の音……。

 どういうこと? 閉まったって、じゃあ今迄あの箱は開いていたってこと? それなら開いていたけど開けれなかった。そういうこと?

 そもそもどこが開くシステムになっているのか分からないし。

龍太郎

中からの音が
ヒントになったんだけど
閉まっちゃうなんて。

 結局、この日はそれだけだった。



 検索もまともなものが引っかからなかった。

 意気消沈する龍太郎が、
「友也君はそういうの強いらしいよ」って、今更感溢れるセリフ。私とアゲハは苦笑いした。


 そしてアゲハが友也君に連絡をとって、明朝来てもらえる事になった。

 次の日へ続く 

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