――DAY 4――
夕方
酒屋
――DAY 4――
夕方
酒屋
……なに?
「アルセニーが生き返って復讐の鬼になった」だと?
ああ。間違いねぇ
…………
ちょっと待てよ。
サーヴァ、お前が見たのか?
ん?
いや、俺が見たわけじゃねぇが
ロッタがこの間、少しだけ顔を見たって言ったんだ。あいつならしっかりしてるし息子を見間違えたりしないだろ?
話すとき嬉しそうな顔してたらしいぜ
???
「らしい」?
ロッタから直接聞いたんじゃないのか?
ああ、それなら、そこで酔いつぶれてる奴らが言ってたぜ
……おいおい
飲む前からいやに落ち込んでて詳しい話は聞けなかったが、ラートカがロッタに聞いたらしい
それを聞いたスラ―ヴァが、アルセニーの墓が壊れてるのを見たって言ってな……
ふうん……なんで墓場なんかに行ったんだ?
そういや、斧が一本無くなったって言ってたな。探しに行ったんじゃねえか?
……なるほどな。それなら現実的になってきた
噂話ってのは膨れるからな……
おかげで正確に近い情報になった。ありがとよ
? よく分からんが、あんたの助けになったんなら嬉しいぜ!
しかし……
『あまり、気に病むんじゃないよ』か……
何だぁ?
何でもない。にしても、よりによってスラ―ヴァまで、だいぶ酔ってるな。怒られても知らないぞ
ああ……さっきの話のあと急に懺悔なんて始めちまった
他人のこと気にするような奴らには見えなかったからビックリしちまったよ
人間誰しも後悔はしてるってことだろ
お前も晴れねぇ顔してんな。どうした?
まあ、ちょっとな……
お前にも後悔でもあるのか?
否定はできねぇな
ショーマいないかい?
ミラ? どうしたんだ?
誰かに窓割られちまって、寒くて仕方ない
適当でいいから塞いでくれないかい?
……割られた?
石を投げ込まれたんだけどね……
その、あんたにはちょっと変だって言われちまうかもしれないけど……
アルセニーみたいな男の顔が見えたんだよ、割れた窓の向こうから
!!
それは――
もしかしてここに父が来てません? 引きずってでも連れ帰しに来たんですけど
あ、ああ……やあ、ファーヤ
そこで寝てるな……
お母さんの遺言を何だと思ってるのかしら、駄目親父
いつも父娘でこんなに顔が違うのかと思うが、性格はハッキリしてるところが似てるんだよな……
あー……ちょっとは大目に見てやってくれ、色々あったらしいからな……
あ、ショーマ!
探してたのよ
俺も飲酒しちゃ駄目なのか?
そうじゃなくて!
さっき、アルセーニャみたいな人が歩いていくのを見たの……
お前もだと?!
その夜、示し合わせたように
一つのものが見つかる。
激しい雪の中
奇跡的に無事だった紙には、
女の文字で助けを乞う文字が
綴られていた。
そしてその裏に、
男の顔が
簡単な鉛筆のような筆記具で描かれていた。