――DAY 4――

セミョーン(ショーマ)

さて……目撃証言と、壊し荒らしの報告がこんなに集まるとはな

まあ、一部はパニックになった者の証言だから、事件には含めずに置いておくとして……目的が分からねぇな

セミョーンは首をゆるゆると振った。

セミョーン(ショーマ)

……で、お前はなんで付いてきてるんだ? ファイーナ

セミョーン(ショーマ)

お前最近、俺の近くに居すぎだろ

……

親父ならちゃんと家に運んでやっただろ。お前も寝てろ

……

俺はこれから雑用だから、来ても何もないぞ?
吹雪なんだから早く帰れって

……

あのな、今この町が物騒なことくらい分かってるだろ?

……ったの

……私も、アルセニーに会ったのよ?

セミョーン(ショーマ)

……だから、危険だって分かっただろ。
今夜出ちまったのは必要があったから仕方ないが、夜は出歩かない方が……

……こ

怖いん、ですけど!

っ……

こ、怖くて身体が震えて……

 腕からその感触が伝わってくる。

お、おい、ファイー……

お父さんもいざというとき助けてくれない、この、状況で、家でも、あ、安心なんてできないんですけど?

……ああもう!

わっ

うわ、冷てぇ。
女って男より体温高いんだろ?
こんな冷やしてんじゃねぇよ

せ、セミョ……

ったく、早く言えよ。
皆からチヤホヤされてるお姫様がここまで自分から助けを求めるのが苦手だなんて思わなかったぜ

……ごめんなさい

今日はついててやるから、明日から絶対に不用意に出歩くなよ

……うん

それと……

――――には、気をつけろ

え?

……本当は、まだ言う気は無かったんだけどな
今夜だけでかなり話が変わった

至近距離でなければ

聞こえない程度の声だった。

でも、どういうこと?

信じられねぇのも無理はないが……

……避けろ!

何かが勢いよく繰り出される。




しかしそれよりも早く、

セミョーンはファイーナを抱えると

伏せて転がった。

っ!

灯りを掲げた向こうに、

一瞬顔が浮かび上がった。

あ、アルセニー!!

――――――っち

セミョーンが何か粉末を投げかけたとたん、

舌打ちに似た音を残し、人影は姿を消した。

な……何が起こったの……

……逃げられたか……だが、何も起きなかったな

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