――DAY 4――



森小屋

なるほどな。あの店で食料買い込んでたわけか

イリヤ(イーリャ)

はい。それでお昼もここで……

セミョーン(ショーマ)

ミラが心配してたんだぜ? あ、あの飯屋のおばちゃんのことな

飯屋ザミーラ(ミラ)

ショーマ! あんた、あのイリヤって子知らんかい?

どうした、ミラ。
取り乱してるな

飯屋ザミーラ(ミラ)

あの子を見かけないんだよ! 他の店にもきてない……

とりあえず落ち着け。
宿には帰ってきてるから

飯屋ザミーラ(ミラ)

またいなくなっちまうのは、やめておくれよ……

ごめんなさい

……まあ、時々は顔出してやれよ

二人はベッドの縁に腰かけて話をしている。

セミョーン(ショーマ)

ところで、どうだ?
何かあったか?

……それが、全然見つからなくて……

ふうん……あれから一度も見てないのか……

セミョーンは暗い顔になった。

イリヤ(イーリャ)

やっぱり僕、他を探した方がいいんでしょうか

セミョーン(ショーマ)

うーん……

セミョーン(ショーマ)

……普通の人間なら樹海の中に潜むなんてことは不可能なんだよな

とすれば、どこか暖まれるところに少なくともいるはずだよな?

えっ……ああ、そう、ですね……

おいおい、しっかりしてくれよ

すみません、ちょっと最近……

セミョーン(ショーマ)

まあ、無理もないな
だが、落ち着けよ

お前しか妹を助けてやれる奴はいない。そして、お前が悲しむのと同じように、リーリヤも、お前が焦って怪我でもしたら悲しむんだからな

セミョーンは言いながら、イリヤをじっと見た。

……分かりました

セミョーン(ショーマ)

本当に分かったんだろうな?

……はい

セミョーン(ショーマ)

なら良い。無茶はするなよ?

……はい

少し思案顔でイリヤは言った。

しかし……樹海の奥まで一応捜索は考えるべきなのか……

でも、樹海の入り口付近でしか見てないんです、僕

セミョーン(ショーマ)

……うーん

セミョーンは難しい顔をして黙った。

イリヤ(イーリャ)

……

……

……まあ、話してたって解決するわけじゃないしな

 窓から離れていれば、

外からも見えないが

中からも外を見ることはできない。

二人には、

アダムスキーが森小屋の前を通ったのを

見ることはできなかった。

 しかし、もし近くにいたとしても、

「事前に窓から見える外の範囲を確認していた」

 彼が目撃されることはなかっただろう。

 絶対に。

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