――DAY 4――

早朝

墓地

セミョーン(ショーマ)

うーわ、寒っみぃ

セミョーンは手袋を脱いで息をついた。

ここに来るのも久しぶりだったな……そうでもないか?

墓地には素朴な墓が並んでいるだけだった。

その中に、小さな墓がひとつ増えている。

『 リーヴィニ 』

……ごめんな……

小さな墓に告げると、

セミョーンは振り返らずにその場を後にした。

『アルセニー・エリコヴィチ・ロバチ』

小さく刻まれた墓の前にも、

花が置かれていた。

?!

イリヤ(イーリャ)

あ……セミョーンさん

イリヤ、……

朝早いな。
俺はもうこの時間は辛くてな、若いのはいいことだ

イリヤ(イーリャ)

今、どこから出てきました……?

セミョーン(ショーマ)

セミョーン(ショーマ)

そうか、知らなかったのか。その先が墓地になってるんだ

一見見えにくいが、よく見ると


わずかに木と木の間が広くなっていた。

イリヤ(イーリャ)

こんな道があったんですね

セミョーン(ショーマ)

ああ、ここに見えにくいが道があるんだ。……しかし、お前が知らないとは思わなかったぜ

イリヤ(イーリャ)



飯屋『ミラ』

……だからよ、蛇ってのは犬猫にも負けちまうのさ

酒場サッヴァ(サーヴァ)

本当か?
お前、どうせ見たこともないんだろう?

あるよ。やつらにゃあ蛇毒が効きにくいんだ

イタチや鷹なら聞くが……

アイラト(ラートカ)

おい、サーヴァ、スラーヴァ。今はそんな話してる場合じゃないだろう?

ヤロスラフ(スラーヴァ)

ヤロスラフ(スラーヴァ)は、アイラトの言葉に

がっしりした肩をすくめた。

ヤロスラフ(スラーヴァ)

逆に聞くが、何の話をしようってんだ?

ろくな対策も出て来やしないのに愚痴を言い合う女のお喋りみたいなのはごめんだぜ

飯屋ザミーラ(ミラ)

あんたにはかみさんがそう見えてるのかい

ザミーラが奥から声だけを飛ばした。

ヤロスラフ(スラーヴァ)

ハ、こんな雪空じゃ「向こう」からも見えちゃいないだろ

ヤロスラフはグラスを置いた。

俺は嫌いなんだよ、自分じゃできないことをグチグチ言う奴らがな

酒場サッヴァ(サーヴァ)

ほう、じゃお前は自分ができる話しかしないのか?

ヤロスラフ(スラーヴァ)

別に。相手ができそうな話ならするさ

アイラト(ラートカ)

おい、俺は『ツチノコ捕り』に付き合う気はないぜ
そんなことできやしない

ヤロスラフ(スラーヴァ)

ラートカ、おれはたしかに妙な跡を見たんだ

いい加減にしろ!

アイラトは机を叩く。


叩かれ慣れているのか、

ザミーラは今度は反応しなかった。

お前がいつもいつもそうやって変に煽るから……

3年前だってなぁ! お前がアルセーニャに余計な事を吹き込んだから……

ヤロスラフ(スラーヴァ)

吹き込んだ……から、何だ?

おい、二人ともやめろ

何を勘違いしてるのか知らないが、俺はアルセーニャに……アルセニーに、『死ね』なんて言ったことはないぜ

あいつが言ったんだ

言ってから、ヤロスラフは嫌そうな顔をした。

飯屋ザミーラ(ミラ)

……初耳だね

アイラト(ラートカ)

なんて言ったんだ?

……忘れろ

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