──DAY 3──

午後

ファイーナ宅

セミョーン(ショーマ)

……話が逸れたな

そもそも、嬢ちゃんは何故目をつけられたのか。嬢ちゃんに接触するはずだった教団員はいなかったのに、何故嬢ちゃんはいなくなったのか

これが分からないことには、全容はつかめねぇな

ファイーナ(ファーヤ)

……それ、どうやったら分かるのかしら

一応手は打ってるんだがな

ファイーナ(ファーヤ)

どうやって調べるのか聞いても良い?

セミョーン(ショーマ)

俺はもともと足で稼ぐ方の情報屋じゃなかった

それじゃ限界があるからちょっとした対話術と芸を身に着けたがな

足じゃない? 聞きこみしないってこと?

セミョーン(ショーマ)

魔術だ

索敵、反魂、過去に使われた魔術の痕跡を探る呪文

そういうのが得意分野でな

大がかりな呪文が多いから、楽ってわけじゃねぇけどな。
今は呪文を増幅しつつ、結果待ちだ

ファイーナ(ファーヤ)

だから全然見かけなかったのね……邪魔した?

セミョーン(ショーマ)

問題ない。まあ……お前に捕まると時間が掛かるのは事実だがな

う……

セミョーン(ショーマ)

お前は? 大丈夫なのか

ファイーナ(ファーヤ)

こんな吹雪じゃお父さんの仕事も手伝えないしねー。暇なのよ

セミョーン(ショーマ)

お前なら吹雪でも問題ないだろ

それが女の子に言うセリフ?

セミョーン(ショーマ)

……さてと、じゃあそろそろ行くぜ

あ……ショーマ、

ん?

その、

えっと、ね?

危険なことがあるかもしれないけど、わたし……

ストップ

あ……

言うなよ

良い女は簡単に絆(ほだ)される
もんじゃねぇ

ファイーナ(ファーヤ)

ち、違うわよ。……ちゃんとリーヴィニ弔ってあげてね

セミョーン(ショーマ)

ああ。吹雪が止んだら、お前も墓参りしろよ?

……そうだ

え、な、どうしたの……?

怒られるのを承知で、一つ許して欲しいことがあるんだが……

…………

…………

……えっ

店員

アダムスキー……また来たのか

アダムスキー

買い物ができないわけじゃないだろ?

店員

……






店番の頼りなさげな青年は

口を結んで籠に目をやった。

店員

……って、何だこの大量の魚?!

店員

こんなに買ってどうするんだ

鱗に用があってな

店員

は?

アダムスキー

ああ、そういえば

この店に15くらいの女子が来たこと…………

店員

ああ、あのガキが探してた子の話?
何度も言ったけど――

…………なんて、
一度もないんだろ?

店員

え?

店員

質問じゃないのかよ、調子狂うな……
僕はここ数日ずっと働いてる。確かに一度もない

……なら、間違いないんだろうな

店員

……

お前でも他人のことを気にすることがあるんだな

……

……ようやく事の次第が分かり始めてきたんだよ

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