江岸が来た頃、俺は事前に電話で聞いておいた綾瀬の家に電話しておいた。
露樹さんは、必要なものをまとめるのを手伝ってくれた。
江岸が来た頃、俺は事前に電話で聞いておいた綾瀬の家に電話しておいた。
露樹さんは、必要なものをまとめるのを手伝ってくれた。
じゃあ、私は今日のことを市のみんなに知らせてくる
そう言うと、露樹さんは自分愛用の自転車にまたがった。
この子のこと頼んだよ、梨奈
は、はい!
じゃあ、と言って露樹さんは出発した。
大丈夫か、あの人。チューハイって酒だろ…
工藤くん、あたし達も行かないと
露樹さんに声をかけられて元気が出たのか、江岸が非常にはりきっていた。
綾瀬の料亭は岸ノ荘から15分かかるらしい。
今回の計画は誰にもバレてはいけない。
自転車を借りるわけにもいかず、徒歩で向かうことになった。
綾瀬の家・燕ノ巣は非常に大きな料亭だった。
予想をはるかに上回る豪華さだ。
マジでか……
口をあんぐりと開けている俺を見て、江岸がクスクス笑う。
ね。岸ノ巻ってそんなに田舎じゃないでしょ
ロビーには着物を着た綾瀬の姿があった。
ツンとした外見からは想像できない。
綾瀬……それって…
う、うるさい!休みの日はいつも接客の手伝いをしてるの!!それとも、そんなに私が着物来てるの変?
馬子にも衣装だ……
黙れ!!
鉄拳を上手くやり過ごし、頼んでおいたことを聞いてみる。
綾瀬は表情を曇らせる。
別に私やお母さんはいいと言うんだけど…お父さんの説得がまだなんだ。仕込み中だから邪魔すると凄く怒るし
答えは半ば予想できていた。
事情を聞かされてない江岸がキョロキョロしている。
キッチンに案内してくれないか
ちょっと待って……
懐から携帯を取りだし、誰かに電話する。
何回か頷いた後、携帯を閉じた。
いいよ。ついてきて
さぁ
ここからが正念場だ。
上手く交渉出来るといいが。