右手に十字架のペンダントを握ったまま少しだけミラバルとの間を詰める
ぐすん……
あ、あの……
右手に十字架のペンダントを握ったまま少しだけミラバルとの間を詰める
大丈夫?
ひぐっ……うぅぅ……
と、とりあえず座りなよ……
我ながら何を言ってるのかよくわからないが、女の子が泣いているところを見るのはあまりいい気分はしない。
ぐす……
落ち着いた?
水飲む?
うん……
彼女はコップの水を一口飲むと、うつむいたままコップの中身を見つめ続けた。
私ってホントにダメだ……
そんなに落ち込まなくても……
実は、君と同じように過去の獲物にも全部逃げられちゃってて……
もうおうちに帰れない……
全部って……
ってことは、君ってもしかして処j――
あーーーーーーー
きこえなーーーーーい!!!!
きーこーえーなーいーーーーー!!
ちょ!
静かにしてって……
わ、悪かったって……
必ずと言っていいほどこれからって時に逃げられちゃうのよね……
やっぱり緊張してるからなのかな……
はぁ……
男性恐怖症的な?
わかんない……
そうかも……
サキュバスのくせに
なにか?
なんでもない
ミラバルは目線をはずすともう一度深いため息をついた。
その様子を横目で見ていると、ミラバルは何かを思いついたように急に立ち上がった
ど、どうした?
決めた!
私、貴方と同棲する!
はぁぁぁぁ!?!?
男の人に対して緊張しないために、私はあなたと同棲するの!
いい考えね!
一介の大学生にそんな財力あるわけないだろ!
ただとは言わないわ
掃除洗濯料理は私がしてあげる
男子大学生っていうのは掃除洗濯料理ができないってお母様に習ったもの!
全国のちゃんとした男子大学生に謝ったほうがいい
ってことでよろしくね!
うるさい出ていけ!!
そういって僕はベランダの扉を開け、ミラバルを放り出して鍵をかけた。
開けないさいよーという声が聞こえる気がするがおそらく気のせいだ。
悪い夢を見てたってことにしよう……
明日は一限なんだ……
ちゃんと寝よう……
ん……
あんまり寝たきがしない……
おはよ!
なんでいるの!?
だって、昨日約束したじゃない!
いや、してないよ……
それより、これってどうやって食べるの?
こちらの話を聴こうというそぶりすら見せずに、ミラバルは尋ねた。
その手には卵が握られている。
卵も割れないのか……
こっちの食べ物には馴染みがないんですー
初歩の初歩もできないのかよ……
し、仕方ないでしょ……
初めて……なんだもん……
可愛く言っても絶対許さないからな
ちぇっ
ていうかさ、君、ずっと気になってたんだけど、絶対男性恐怖症とかじゃないでしょ
ぎくっ……
だったら、そもそも治るまで同棲って話もなし!
ほら!さっさと出ていって
ちょ、ちょっとストップ!
嘘ついたのは謝るから!
話だけ聞いて!
うるさい!
僕には時間がないの!
私、家に帰れないの!!!
……え?
次回予告
実は私、お母様からあることを言われてしまって……
はぁ……
掃除したら、こんなの出てきたんだけど
しまっとけー!
お楽しみに