ミラバル

ぐすん……

和典

あ、あの……

右手に十字架のペンダントを握ったまま少しだけミラバルとの間を詰める

和典

大丈夫?

ミラバル

ひぐっ……うぅぅ……

和典

と、とりあえず座りなよ……

我ながら何を言ってるのかよくわからないが、女の子が泣いているところを見るのはあまりいい気分はしない。

ミラバル

ぐす……

和典

落ち着いた?
水飲む?

ミラバル

うん……

彼女はコップの水を一口飲むと、うつむいたままコップの中身を見つめ続けた。

ミラバル

私ってホントにダメだ……

和典

そんなに落ち込まなくても……

ミラバル

実は、君と同じように過去の獲物にも全部逃げられちゃってて……
もうおうちに帰れない……

和典

全部って……
ってことは、君ってもしかして処j――

ミラバル

あーーーーーーー
きこえなーーーーーい!!!!
きーこーえーなーいーーーーー!!

和典

ちょ!
静かにしてって……
わ、悪かったって……

ミラバル

必ずと言っていいほどこれからって時に逃げられちゃうのよね……
やっぱり緊張してるからなのかな……

和典

はぁ……
男性恐怖症的な?

ミラバル

わかんない……
そうかも……

和典

サキュバスのくせに

ミラバル

なにか?

和典

なんでもない

ミラバルは目線をはずすともう一度深いため息をついた。

その様子を横目で見ていると、ミラバルは何かを思いついたように急に立ち上がった

和典

ど、どうした?

ミラバル

決めた!
私、貴方と同棲する!

和典

はぁぁぁぁ!?!?

ミラバル

男の人に対して緊張しないために、私はあなたと同棲するの!
いい考えね!

和典

一介の大学生にそんな財力あるわけないだろ!

ミラバル

ただとは言わないわ
掃除洗濯料理は私がしてあげる
男子大学生っていうのは掃除洗濯料理ができないってお母様に習ったもの!

和典

全国のちゃんとした男子大学生に謝ったほうがいい

ミラバル

ってことでよろしくね!

和典

うるさい出ていけ!!

そういって僕はベランダの扉を開け、ミラバルを放り出して鍵をかけた。
開けないさいよーという声が聞こえる気がするがおそらく気のせいだ。

和典

悪い夢を見てたってことにしよう……

和典

明日は一限なんだ……
ちゃんと寝よう……

和典

ん……
あんまり寝たきがしない……

ミラバル

おはよ!

和典

なんでいるの!?

ミラバル

だって、昨日約束したじゃない!

和典

いや、してないよ……

ミラバル

それより、これってどうやって食べるの?

こちらの話を聴こうというそぶりすら見せずに、ミラバルは尋ねた。
その手には卵が握られている。

和典

卵も割れないのか……

ミラバル

こっちの食べ物には馴染みがないんですー

和典

初歩の初歩もできないのかよ……

ミラバル

し、仕方ないでしょ……
初めて……なんだもん……

和典

可愛く言っても絶対許さないからな

ミラバル

ちぇっ

和典

ていうかさ、君、ずっと気になってたんだけど、絶対男性恐怖症とかじゃないでしょ

ミラバル

ぎくっ……

和典

だったら、そもそも治るまで同棲って話もなし!
ほら!さっさと出ていって

ミラバル

ちょ、ちょっとストップ!
嘘ついたのは謝るから!
話だけ聞いて!

和典

うるさい!
僕には時間がないの!

ミラバル

私、家に帰れないの!!!

和典

……え?

次回予告

ミラバル

実は私、お母様からあることを言われてしまって……

和典

はぁ……

ミラバル

掃除したら、こんなの出てきたんだけど

和典

しまっとけー!

お楽しみに

夜中の話し声の大きさには気を付けよう

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