ん……

うぅん……

とても寝苦しい……

体が重い……

和典

はぁ……目が覚めてしまった……

午前二時、この部屋の住人であるこの僕、愛内(あいうち)和典(かずのり)は、あまりに寝苦しくて目が覚めた。
水でも飲もうかと体を起こそうとした、すると――

あら?
起こしちゃったかしら?

和典

…………は?

なぜか美少女がいた。

ちょーっと動かないでねー

和典

あの……どちら様……?

そんなこと気にしなくていいわ。
何せ貴方はもうすぐ死ぬのだから。

和典

いや、何を――

言ってるんだと言いたかった。
が、体が思うように動かない。

和典

っ……

いい感じで魔力が効いてきたみたいね

和典

な……なにをした……

うるさい人間ね……
仕方ないわ、教えてあげる。
冥土の土産ってやつね

和典

…………

ミラバル

私の名前はミラバル
サキュバスよ

和典

サキュ……バス……

ミラバル

そうよ!
今からあなたのすべてを吸いつくしてあげますわ!
極上の快楽の中で昇天できることをありがたく思いなさい!

ミラバルと名乗る彼女が僕の体をなでるように触る
くすぐったいような感覚が全身を襲う

ミラバル

はぁぁぁ……
若い精気がこれでもかってくらい伝わってくるわ……

和典

くっ……

ミラバル

それじゃ、いただきまーす

彼女の口元にきらりと八重歯が光る
死を覚悟し強く目をつぶった瞬間、一瞬だけ拘束力が弱まった。

和典

っだあ!!

ミラバル

きゃぁ!
なにすんのよ!

和典

来るな!!

僕はとっさに枕元に置いてあったお気に入りの十字架のペンダントを掲げた。
ぶっちゃけ、サキュバスに効果があるかなんてわからなかったが、何もせずに死ぬよりはましだと思った

ミラバル

ぐうぅぅぅ……

思ったよりも効いたのか、彼女は一定の距離を保った場所で固まって動かない。

和典

さ、さっさと出ていけ!!

ミラバル

う……うぅ……

気を抜くと今にも崩れ落ちてしまいそうな足を、何とか踏ん張らせ、精一杯の虚勢を張る
ここで引き下がってしまえば、僕自身の命が危ない。

と思っていた矢先だった。

ミラバル

うわぁぁぁぁぁぁぁん!!

和典

……は?

僕には何が起こったのか理解できなかった

色香を操り、人の精気を喰らうサキュバスを自称する少女が
突然僕の目の前で号泣し始めたのだった。

次回予告――

ミラバル

決めた!
私、貴方と△△△△する!

和典

はぁぁぁぁ!?!?

和典

初歩の初歩もできないのかよ……

ミラバル

し、仕方ないでしょ……
初めて……なんだもん……

お楽しみに

出会いはベッドで突然に

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