おぞましい雰囲気が教室を包む。何故、僕は気付かなかったのだろう? 僕が呼んだ神ではなく、悪魔だったことに……
おぞましい雰囲気が教室を包む。何故、僕は気付かなかったのだろう? 僕が呼んだ神ではなく、悪魔だったことに……
さて、彼女達はほっといて、お礼に君の願いを一つ叶えてあげよう
本当に願いは叶うの?
当たり前さ。私は願いの神だろう?
願いの神は優しく微笑んだ。
お父さんを生き帰ることは出来ますか?
ふふ
願いの神は微笑みかけた。僕は嬉しくて涙が出そうだ。
良かった。お父さんが生き返ればお母さんも今まで通りになるよね
君はお父さん、お母さんと一緒に暮らすことが望みなんだ。良い願いだ叶えてあげたい
良かった本当に良かった。これで、また会えるだ。お父さんに……会ったら何て言おうかな? やっぱり、お帰りなさいかな。うん、そうしよう。
君の願いは決まっているようだね。早速叶えよう
ま、待って、野沢。そんな奴の言うことき、聞くな。人が生き返る事なんて無い
……そうだよ、あり得ないよ
やばいって、やめよう
三人が怯えながら、反論をした。けれど、僕はその言葉に耳を貸さず。彼女達に向って、言葉を吐いた。
うるさい。僕の邪魔をするな!
そうさ、君達には関係ない。邪魔をしないでいただきたい
気付いたら、目の前に居たはずの三人の姿が影も無くなっていた。教室には僕と願いの神しか居ない。一体、何があったんだ。僕はただ……邪魔をするなって言っただけだぞ。
さて、静かになった。君の願いはお父さんを生き返させることだね
何をやったの? 三人をどうしたの
邪魔になりそうだったからね。消したのさ
消したって、殺したの?
嫌、殺してない。消しただけさ
願いの神は消したと言っているが本当だろうか?
本当に
私は嘘を付かない。君達、人間の前ではね
僕はようやく目が覚めた。
何故、僕はお父さんが死んだのに、悲しまなかったんだ?
何故、僕はお母さんをほっといていたのだろう? 何故、僕は呪文を解読していたんだろう?
何故、周りの声に耳を貸さなかったんだろう?
どうして僕はアイツを呼んでしまったんだ。
……
ハァ、まぁ良い。君の願いを叶えよう
や、やだ
心配しないで死にやしないよ
野沢に手を伸ばして、目をふさいだ。目の前が真っ暗になる。僕は慌てて、手をのかそうとしたが強い力でびくともしない。
あ、あわ
さあ、願いを叶えよう
ふと気付くと、僕は家のソファーに座っていた。
……ここは
僕は確か教室にいたはず
周りを見渡すとリビングでお母さんとお父さんが座っている。
お母さん、お父さん
僕は駆け足で二人に二人に近づいた。
いつ帰ってきたのお父さん
……
お父さん?
お父さんの体を揺さぶっても、まるで反応が無い。すると――
鈍い音がした。それは床に転がっていた。
やだ、やだ、嘘だ
それと目が合うと唐突に吐き気がした。
う、うっ……
吐き気を堪えて、お母さんを見つめる。
……
これも……同じだ
うーん、できが甘かった。人間はもう少し頑丈に出来ていたっけ
お前、何をしたんだ
突然、後ろに願いの神が立っていた。
ん? 気に入らなかったかい
君が願った望みは?
僕はこんな事、願っていない
元に戻せよ。この悪魔
ふふ、分かった。うんうん、それでこそ人間らしい
不敵な笑みを浮かべ、野沢に話し続ける。
分かった。その願い叶えてあげよう
どういう意味だ
すぐに分かるさ
うっ
すると、急に体の力が抜けて、睡魔が襲う。野沢はその場に倒れ込んでしまった。
お休み、良い夢を
目が覚めると、僕は自分のベッドで横になっていた。まるで今までのことが夢だったように、窓から暖かい日差しが差し込んでくる。
――本当、夢なら良かったのに。