はっ……はっ……





































はぁ……はぁ……。

























はぁ……。










































……疲れた。


























ダメだ……。
もう、走れない……。





































































無間のしみ
























懐中電灯の明かりだけを頼りに



那由汰は暗闇の中を進む。



友美もその後を恐る恐るついていく。







友美

ねぇ、那由汰くん。
どこの部屋に向かっているの?

那由汰

開いていたカーテンが閉まっていたのは
二箇所。

那由汰

一階のリビングと、
二階の瀧林先生の部屋だ。

友美

よく見てるねぇ……。





那由汰

まずは一階のリビングを見てみようと思う。

































ゆっくりと廊下を行く二人。



静寂の中に、



床板の軋みが反響する。






友美

うひぃ








那由汰

ん?




ふと、那由汰は階段の脇の



壁に何かを見つけた。










那由汰は足元を照らす懐中電灯を



ゆっくりと上へと向ける。


























那由汰

分電盤だ。
ブレーカーが落ちている。

友美

もしかして、明るくできるの?

那由汰

どうだろう。








そう言うと那由汰は背伸びをして


ブレーカーを上げる。


















しかし、瀧林邸の照明は回復しなかった。












ブレーカーが上がっているのにもかかわらず。











友美

漏電してるのかなぁ?

那由汰

……いや。
ブレーカーが落ちていた原因は
漏電かも知れないけど、
それならまたすぐにブレーカーが落ちる。

那由汰

けど、落ちなかった。

那由汰

そもそも分電盤への
送電が止まっているんだ。

友美

送電が……止まってる?

那由汰

うん。
なんでかはわからないけど……。






那由汰は腑に落ちなかったが、



時間の猶予がない事を鑑み、



照明を諦めた。






















懐中電灯の光を下へと降ろすと




そこにはリビングへと通じるドアがあった。






那由汰

行こう、友美先輩。
リビングは、もうその扉の向こうだ。

友美

う、うん。










那由汰は階段脇のドアノブに手をかけ



ゆっくりとその扉を開いた。





























光の遮断された室内よりも




カーテン越しに差し込む月明りの方が




幾分明るいだろうか。



















取り込まれた月明りは




薄ぼんやりと室内を照らしていた。





















と、その時。



那由汰

!!!!








リビングへ足を入れようとした那由汰だったが




その本能が室内への侵入を拒んだ。











友美

ど、どうしたの、那由汰くん。
急に立ち止まって。





驚いた友美は声が震える。












それはこれまでに味わったことのない感覚。



しかし、どこか懐かしいような感覚。






那由汰

……なんだろう、この感じ。







那由汰はリビングの入口から




懐中電灯で室内を照らした。




































友美

ヒッ……

那由汰

うぅ……














変わり果てた瀧林邸のリビングは






黒く煤けた無間のしみに





一帯を覆い尽くされていた。











那由汰

こ……これは!

友美

黒……曾……?































無間の黒いしみは









まるで何かを追い詰めるかのように










それは隙間なく










隙間なく。




































つづく

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