第五章 第二話

第六章 第二話

グラン王国帰還~最終決戦前まで


ラファエル視点のサイドストーリー

……魔王討伐計画

 城の会議室に集合するメンバーたち。

あの魔王様が……

どうした拓雄?

いや、なんでもないよ

どちらにせよ、グラン王と戦って弱ってる今がチャンスのはず

どうして弱ってるとわかるのー?

首をとったのに撤退したのは、ただ王国を崩すのが目的だっただけ……もしくは、魔王も深手を負った――

前者は無いわ。ソージの話では世界を支配しようとしているはず。王のいない今が狙い目だけれど、残った兵士すら倒せない状況にあると考えるのが筋かと

その通りだクレア。王みずからが相打ち覚悟で魔王の腹を裂いた

拓雄とヒーチは魔王城に詳しいよな?

なぜだ?

以前囚われて、脱走してきたんですよ

おお! 君が、あの時のエルフ族を率いたという戦士か

いえ僕はほとんど何もしてないんですけど……

 そこへクレアがふと閃いたように、ヒーチとレオンのほうを見る。

エルフや獣人族は、五感が優れているのよね?

うん! 耳や目は人族の倍ぐらいいいそうだよ!

では、念のため、二人は空から魔王城付近の偵察に行ってもらえるかしら?

 するとソージが突然立ち上がった。

あ、じゃあ、俺も

なんでお前が出てくんだよ

ヒーチさんを守れるのは俺だけだ

では三人でお願い

 そしてその夜、レオンに乗ったヒーチとソージは、空中偵察に出かけることとなった。

にゃ(私もちょっと出かけてくるわ)

え? どこに? 僕もついていくよ

にゃ(却下)

しょぼん……

 こうして私はサリエルのもとへと向かった。


 その理由は3つある。

 ひとつは魔王討伐のためである。
 そのためにマリの呪いを解けないか相談するのだ。
 サリエルは癒しの天使、私のもと右腕。

無理じゃな

……マリに私の魔力だけでも分け与えたり出来ないかしら

無理じゃ。黒魔術、すなわち魔界の術は天界の住人であるわらわたちでなんとかできるものではない

そう……わかったわ。じゃあ魔王軍にやられて負傷している兵士たちだけでも助けてあげてサリエル

 負傷兵の治療、それが二つ目の理由である。

 そして人助けをするということはサリエルを天界に戻すための手段でもあり、それが3つめの理由となる。

助けてじゃと!? そんな考え、いつから

本当は王を生き返らせてやりたいのだけれど。今の私に反魂は無理なので

そ、そんな優しいラファエル姉様など……

罵倒天使失格じゃ!

や、私は癒やしの天使なのだけれど

そうか……ということは優しくて正解なのかや? 罵倒天使あらため、慈悲天使?

にこっ

似合わん!!

ひどいわね

じゃが、薬だけでは外傷自体を治すことはできん。連れて来んと

そうね……でも身バレできないから難しいのよ

誰か手伝ってくれそうな人間はおらんのかや?

手伝ってくれそうな豚ならいるけど

家畜か?

ええ

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