野沢は恐る恐る目の前の紙を手に取った。その瞬間、一枚目の文章が脳裏に浮かぶ。
野沢は恐る恐る目の前の紙を手に取った。その瞬間、一枚目の文章が脳裏に浮かぶ。
手が震えてきた。心臓の音も聞こえる。胸がはち切れそうだ。
どうしようどうしよう
思いとは裏腹に野沢は震える手で二枚目の紙を広げた。
英語?
紙にはローマ字で文章が書かれている。長々と書かれた文章は英語では無さそうだ。習ったことがある単語だけ、多少は読めるはずだ。しかし、自分が習った単語ではまるで読めない。
英語じゃない?
この紙に書かれている文字は英語では無い? けど、何処かで見たことがあるような?
buchstabieren
これ……何処かで
一行目に書かれている、単語の一つが心の何処かで引っかかる。
――この文字はもしかして!
僕は思い付いた事を確認するため、急いで父の部屋に向かった。
父の部屋は自分の部屋から二つ奥にある。僕は父の部屋に入って、本棚からドイツ語の辞書を広げて単語を調べた。
やっぱり、この文字はドイツ語で書かれてるんだ
読めないはずだ。英語しか習っていない野沢にドイツ語を読める知識は無い。けれど、父がドイツで働いていること、父の手紙。そうだ、この文書はドイツ語で書かれている。
buchstabieren……呪文?
どんな呪文だろう?
不思議と恐怖は無くなっていた。むしろ、好奇心が浮かび上がっている。そして、野沢は三枚目、四枚目の紙を広げた。三枚目には二枚目と同じようにドイツ語で何か長々と書かれていた。
魔法陣?
四枚目は文章では無く、アニメや漫画、ゲームで見たことがある魔法陣が描かれていた。
綺麗だな
僕は何故か、あの魔法陣を綺麗だと思っていた。今では恐ろしくてたまらないのに。
これは
最後の一枚目、手紙に入っていた。五枚目の紙、野沢はそれを広げて読んだ。その紙には(この世界は偽りに包まれている)と書かれていた。
なんだこれ
野沢は五枚目の紙を捨てた。紙はヒラヒラと舞い落ちる。
……解読しよう
この時からだ。僕は誰かに操られたようにドイツ語で書かれた文章を解読し始めたのは……。
そして僕は解読するまで家族関係も友達関係もほっといて、三日でドイツ語を解読して、四日で呪文を理解した。その結果、僕は失う物は失って、得た物は最悪でしたよ
まさか、悪魔を呼び出すなんて、思いませんでしたよ
悪魔?
野沢が言っていた、呪文と魔法陣が関係しているのか?
そう、アレは悪魔ですよ。アイツに願いなんて言わなければ良かった
何を願ったんだ。悪魔に
……二つだけ
願った結果、消えてしまいましたよ……三人も
何があったんだ
そうですね、どこから話しましょうか
野沢は再び暗く冷たい思い出を野沢は語り出した。